日本ハムの出だしがよくない。
まさに象徴するかのような10日の東北楽天戦。先発の大谷翔平は尻上がりに調子を上げていった。球が走り出した中盤以降は、ピンチらしいピンチもなく、あれほどまでに安定感のある大谷は、プレミア12を除けば久々に見た気がする。今季初完投、プロ入り初の無四球試合...
なのに、最高の投球をしたにもかかわらず、この日も勝てなかった。目標とする20勝到達に向けて、暗雲が立ち込める‥。ことごとく好機に凡退を繰り返す、貧弱な打線に責任があるのはもちろんだが、唯一の失点を喫した4回の、あの杉谷拳士の守備は、どうだったのだろう。
好調・ウィーラーには長打があり、外野は幾分深めのポジションをしいていた。したがってセンターにあがった浅めのフライが取れず、ヒットになるのは、まだ判る。だが、ダイビングキャッチを試みて、あろうことか‥彼は後ろに逸らしてしまった。結果、二塁打となって、相手にみすみす得点の機会を与えてしまった。
レギュラー中堅手の陽岱鋼が故障し、「急造」というのもあったろうし、ハッスルプレーが杉谷の信条であるのは確かであるけれど、彼には試合状況や“流れ”もよく読んでほしい。まだ4回、無死無走者‥。そこまで「冒険」をする必要があっただろうか。あの打球を単打とし、送られたとしても、1死2塁‥。大谷なら、あるいは失点を防げていた可能性もあった。無論、すべて結果論であるのは承知の上だが。
第一打席でヒットを放っていたのに、途中で代打を送られてしまう。しかも、決して本調子とはいえない谷口に。件のプレーを重く見て‥なんてことはないだろうけれど、昨季は打つ方でも飛躍的な成長を遂げていたので、もったいなくも感じた。レギュラー獲りをうかがう若手選手には特に、ひとつひとつのプレーを大事にいってもらいたい。
杉谷の背番号が今シーズンより「2」に変更となった。杉谷以外にも、大幅に背番号の変更が施されたが、番号を選手に与える球団のセンス。これが日ハムは抜群なのだ。まず2016年4月現在の、基本(ベスト)オーダーをご覧いただきたい。
【中】陽岱鋼 ≪1≫
【左】西川遥輝 ≪7≫
【二】田中賢介 ≪3≫
【一】中田翔 ≪6≫
【右】近藤健介 ≪8≫
【指】大谷翔平 ≪11≫
【三】レアード ≪5≫
【捕】大野奨太 ≪27≫
【遊】中島卓也 ≪9≫
特筆すべき、太文字で強調した≪背番号≫の箇所。
‥お気づきになるだろうか。一般的に主力選手の番号と呼ばれる一桁台が、このオーダーの中に7名もいる。9人中の7人なのだから、これはかなりの率だ。他を見渡しても、こういった球団はないだろう。いかに、日ハム球団が主力選手に対し、巧みに番号を割り振っているかが判る。しかも上記以外の≪2≫が杉谷で、≪4≫も飯山裕志。ともにベンチに欠かせない選手だ。
ミスターF、≪6≫をつけた中田と、同じく≪7≫に変更となった西川が本来の打撃力を取り戻し、陽が戦列に戻って、大谷まで加われば、90年代猛威をふるった「ビックバン」以上の強力打線になると思うのだが、いかがだろう。