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センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

「隅イチ」な記憶

野球

「1-0」「0-1」

 

予想に反し、ハムにかんしては今年、こうしたロースコアのゲームが多い。4月19日現在で、すでに4試合もある(2勝2敗)。今シーズンからコディジョンルールが導入され、『目先の失点より、さらなる失点防止、次走者の進塁阻止』1点の重みが“以前ほど”重要視されない傾向になるのかと思いきや‥ここまでは、少し意外な展開だ。

 

19日の埼玉西武戦もファイターズ投手陣による完封リレー。初回にあげた近藤健介のソロアーチによる、虎の子の一点を守り切ったカタチだ。俗にいう「スミイチ」勝利。ゲーム終了後、実況が『滅多にない試合』、そう幾分興奮気味に話していたが、云われてみると、たしかに少ない気がする。‥ゆえに「スミイチ」ゲームの記憶が、筆者の脳裏に焼き付いているのかもしれない。

 

 

なかでも“記録的”なのが、敵地・大阪ドーム(現京セラ)で初回の先頭打者・井出竜也のホームランであげた1点を守り切るという試合が、以前にあった。19日の西武戦とちがい、プレイボール直後の1回表、しかも、今、手元に資料がないのでアレだが、井出は髙村祐の「初球」を叩いたと思う。試合開始、30秒もたたぬうちの得点‥。事実上、その1点でゲームが決まった。

 

もうひとつは、これは私もよく覚えている。1989年、夏休みも終わりの頃、ロッテ戦。先発の河野博文が初回に先頭の西村徳文にヒットを打たれ、エラーも絡んで得点を与えてしまう。しかし、以後河野はロッテ打線にヒット1本も許さなかった‥。完投し、8回1安打投球ながら、味方が得点を奪えなかったために、敗戦投手となった河野。けっきょく、この年は未勝利に終わった。

 

 

悲喜交交‥。1点ならぬ、まさに「1球」が各々投手の明暗をわけたカタチだ。19日は、岸孝之が近藤に投じた、その1球に泣く。失投というわけもなかったが、近藤が内角球を、腕をうまく畳んで力強く引っぱだいた。‥近藤健介、巧さに強打も兼ね備えて、同じ捕手でプロ入りした小笠原道大を、なんとなく連想させてくれる。彼の打撃力は、本当にすばらしい。

 

岸を上回る投球をしたのが、ファイターズの先発・吉川光夫。今こんなことを書くと、かっこ悪い気もするけれど、私は初回のピッチングを見て『きょうはイケる』と感じた。左打者の外角へ、糸を引くような147キロの直球。MVP獲得時の2012年、吉川の「鬼ストレート」を、ふたたび見た気がした。この球をコンスタントに投げ続けていれば、いくら西武打線でも、やすやすとは点を奪えまい‥‥。7回無失点の好投で、早くも3勝目。今年は勝ち運にも恵まれているようだ。

 

3投手を好リードで導き、さらには状況をとらえた好判断と、リーグ屈指の強肩で反撃の芽を絶った女房役の大野奨太。ファイターズにグッと勝利を手繰り寄せてくれたのは、まぎれもなく大野だった。お立ち台にあがらなかった、もう一人の、ヒーロー。

 

 

試合時間がやたら長く、投手の防御率が悪化してしまう「乱打戦」より、この日のような1球の行方に息をのむ「投手戦」の方が好きだ。あらためて、そう思った。