センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

本から「分析」する、金本知憲

阪神タイガース‥‥の、ファンの、ファンなのである。

 

 

パ・リーグチームをひいきにする筆者。タイガースとのゲームが、毎年「交流戦」での最大の愉しみだ。平日にもかかわらず、スタンドを埋め尽くしてくれる虎党は、ヤフードーム以外‥まだまだ空席の目立つパ・リーグ各球団にあって、誠にありがたい。ホームチームのファンより上回る人数で大合唱される【六甲おろし】は、観ていて爽快すらある。球団幹部に代わって、いつもご来場ありがとうございます。

 

 

阪神という球団について、私が関心しているのは、監督の選び方。巨人同様、このチームも歴代の監督は、ほぼOBで占めている。野村克也から星野仙一へ‥‥方向性に迷いが見られた時期もあったけれども、近年はふたたび落ち着いてきた。

 

それだけに、ファンからミスタータイガースと謳われた掛布雅之監督というのを、一軍で見たかった気もするが、監督が全員40歳代‥‥他5球団に足並みを揃えた感じなのだろうか。

 新任の金本知憲だって、生え抜きではないものの、一応OBであるし、タイガース在籍時代にはそれに相応しい成績を残した。おそらく多くの虎党たちは、歓迎の意を示していたと思う。それに本人も、前にいたカープ“球団”に対しては、あまりよく思っていないようである。

 

『広島ではなく、俺は阪神の男だ』 そう云わんばかりの蒸し暑いくらいのタイガース愛を自らつづった【人生賭けて】を、以前に読んだことあった。

 

 

人生賭けて―苦しみの後には必ず成長があった

 

 

これを読んでいて判ったのは、いかに金本が「面倒くさい男」であったか。フロント目線の、第三者としてである。カープでもタイガースでも、“上”とは、けっこう揉めた模様。カープを出ていったのも、結局は「正当な評価をしてくれなかったこと」が、大きな要因であったらしい。

すぐに何かを主張したがるヒト。‥そういうのは、大抵どこの職場にもいるのだが、当然のごとく、上に立っている人間からは煙たがられる。彼の場合、成績も残していたので、「労働環境」の改善を、フロントらにモノ申す権限もある程度はあったろうし、愛称『兄貴』たる所以‥。他の選手に代わって“自分が”という想いも、あるいは働いてい

たかもしれない。だが....

 

 

カープで主力になっても私と他の主力選手の評価の違いについては、いつも感じていた。オーナーや監督のお気に入りは野村さんや佐々岡(真司)、緒方らと比較しても非常に低かった。正当に評価されないことへの不快感はあった 第三章:伝説より

 

たしかに、それは事実なのだろう。現実に野村謙二郎緒方孝市は、若くしてすでにカープの監督になった。問題は、実名付き”で自著に明かす金本に、若干の「性格の悪さ」を感じた。もう、これで広島には帰れないし、彼自身も帰る気はないのだろう。

 

4番に座り、自己最多となる40発放って、MVPにも輝いた2005年。やはり、感慨深いシーズンであったようだ。

 

03年の優勝は、勢いで制した感があったが、05年はチーム全体で勝ち取った感があった。打線が機能し、ジェフ・ウィリアムス、球児(藤川)、久保田(智之)のJFKが大車輪の活躍をしてくれた。そうして投打の歯車が噛み合い、全員で優勝できたことは、個人的にも非常に嬉しかったし、チームにとっては最大の財産となった 第三章:伝説より

 

同年の思い出はこうして締められている。私は『アレ?』っと、相成った。

タイガースファンからすれば、あの悪夢のような4連敗‥ストレート負けした千葉ロッテとの日本シリーズについて、一言たりとも触れていないのである。ファンでもない筆者すら、いつまでも忘れられぬ「大惨敗劇」に、後年も悔しさを滲ませているのかと思いきや、“美談”で終わっていた。

‥かなりのご都合主義なのか。それとも、あまりにショックすぎて、その部分の記憶だけ抜け落ちているのか。一度真相を窺ってみたい。

 

 

金本監督の性格に難があるだけならまだいいが、実は、それと比にならないくらいの?「不安要素」が本書にあった。

 

清原和博への熱い想い‥‥。どうやら相当な「清原信者」のようである。両者の現役時代の心温まるエピソードや、清原引退時に金本が花束を渡した経緯などについて書かれているが、さすがに、現在の交流はないだろう。

だが「清原」の文字列を見ただけでで、変に反応をしてしまうのは、昨今仕方ないことだ。それに付随して本のタイトル【人生賭けて】の“賭けて”の文字も、野球界に身を置く者は、できれば使用しない方が良かった‥かも知れない。