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センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

小野一光 【殺人犯との対話】1

ホームレスにはなれない....

 

 

云い方とすれば、通常なら「なりたくない」が適切なのだろうか。だが、私は「なれない」のである。

なぜなら、単独行動が目立つホームレスというのも、意外と縦横の繋がりが大事らしい。食べ物を恵んでもらったり、各地で行われている炊き出しの情報を教えてもらったりといった、生きるための物理的な側面。

‥できるだけ人目に晒されたくないホームレスになってもなお、結局は誰かしらと“つるんで”いなければ、生きていくのは困難なのだ。おそらく、そういった世界で元来「えぇかっこしい」なきらいのある自分は、やっていけないだろう。

 

しかし、上には上があって、私が絶対‥ホームレス以上に「なれない」立場が、囚人である。

いくら雨露しのげる寝床と、三食が確保されていても、トイレは共用(「臭い飯」の語源はここにあると、以前本で読んだ)。プライバシーはまるで皆無。‥そもそも得体の知れない男たちと「共同生活」を送るだなんて、到底耐えがたい。昔から意味の解らぬ林間学校などの類が嫌だった自分にいたっては、発狂しそうだ。

 

唯一、これを回避する方法として「独居房」がある。いってしまえば“個人部屋”のようなもの。昨今は“収容能力”の関係で「独居房」なみの狭い空間に、数人で押し込められるケースが多いのだと訊く。

例外は、殺人等の凶悪な犯罪をおかした者。彼らには無条件で“個人部屋”が与えられる。そうした人間には、集団生活も「危険」と判断されるのであろう。場合によっては、監視下のもとで、その一生を‥‥ひとりで過ごすことになるのだ。

 

 

小野一光著、【殺人犯との対話】を読んだ。もとは「週刊文春」に掲載されていたシリーズもので、一話につき前篇・中篇・後篇と区切られ、なかなかのボリュームがあった。それを一冊の本にまとめた単行本が昨秋発売。掲載された全10話、すべてが収められている。

 

 

殺人犯との対話

 

2016年現在、拘置所にいて死刑執行を待つ身の者‥‥すでに執行された者‥‥刑が確定し、刑務所で罪を償う者まで‥‥さまざまな「殺人犯」が本書の中にいる。

事件当時メディアを騒がせた“有名人”も多いが、個人的に初めて名を知った人物も少なくない。

 

【福岡一家4人殺人事件】の魏巍(ウェイウェイ)もその一人だ。周辺人物からの聞き込みを行い、また本人と面会を重ねた著者の記述によると、たしかに、彼が重罪をおかすような人間とは思えない。一部で「陰謀説」を唱えた人がいたのも、判る気はする。

親思いの心優しい青年は、いかにして堕ちていったのか‥‥。アジア系の外国人が大挙して来日してきている今日。なにか他人事のようには感じられなかった。

 

≪続く≫