センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

中田翔への揺れる想い

【25.1%】

 

 

今年の日本シリーズ第6戦で記録した、関東地区での視聴率だ。札幌や広島地区の視聴率はともかくとして、関東でもこれだけの数字を取れたということは、大衆が関心を持っていた証左となろう。‥仮に第7戦までもつれていれば、野球中継としては更に“空前絶後”な視聴率をたたき出していたかもしれない。

選手権が全国放送されない、不遇の時期も経験してきたプロ野球。もともと話題性のあるチーム同士の対戦ではあったけれど、熱い試合をすれば、日本シリーズもまだまだ「キラーコンテンツ」になり得る‥。あらためてそれを知れてよかったし、いち野球ファンとして安堵した。

 

 

【天下発言】 

 

中田翔に対してだけは、筆者は常に厳しい言葉を投げかけてきた。実力不足なのは仕方ない‥‥だが、口先だけの男はもっと格好悪い。そうはなるな。エースの「まいど」KO劇を見てきた古参ファンによる、これは切実たる想いだ。

シリーズ開幕前も『広島をぶっ潰す』そんな怪気炎をあげていたが、結果、日本一になれたからよかったものの、日ハムが敗退していたら、彼はとんだ笑い者になっていた。

 

昨オフだったか‥ダウンタウンMCのバラエティ番組に、ゲストとして出演していた中田。プロ8年目にして“ようやく”30号に届いた男が、誇らしげに超高級腕時計を見せびらかす。先輩との間に起きたイサカイを、さも愉しそうに語る彼の下衆っぷりに、つくづく辟易してしまったのだが、それ以上に、私には気になる言葉があった。

 

 

『天下っすね』

 

チーム内において、現状、彼が置かれている立場を指し示す言葉。兄貴分だったダルビッシュがメジャーに行き、稲葉や金子誠といったベテラン勢も同時期に退団‥‥。もはや中田に物申せる人間など、指導者以外にいなくなってしまったのだろう。いかに傍若無人に振舞っていたかが、なんとなく垣間見える言動であった。

 

したがって若い選手が、いつも彼に恐れをなしていたり、チームの「和」を乱すような行動をとったりはしていないか‥‥野球の実力とともに、人間性までも、あの不用意な発言によって疑問視するようになったのである。

 

 

ところが、彼は「真逆」だった。

 

むしろ、後輩若手選手から慕われていた。日本シリーズ開幕前、広島の実家に数名の選手を招待して「結束力」を高めていたということを、優勝決定後に知った。なお、この実家への招待自体は、以前からも行っていた模様。

かつて自らが喩えられた番長ごとくな夜の街に繰り出すわけでもなく「アットホーム」な空間を共にした選手たちは、投手野手の垣根を越えて、より結束力を高められたにちがない。各々の表情がそれを物語っている‥。中田にここまでの求心力があったことと、細やかな“気配り”のできる選手だった事実には、今更ながら私も感銘を受けた。

 

 

 

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10月30日付スポーツ報知より

 

 

2連敗後の4連勝‥。シリーズの流れを変えたともいわれる第3戦、大谷のサヨナラヒットを生んだ、8回の中田のタイムリー。金子誠山本昌から逆転タイムリーを放って一気にいった10年前のときと、よく似ていた。

中田が流れを持ってきた。これは、たしかに認めざるをえない。勝負弱くチャンスに打てない打席が続いても、けっきょく最後は決めてくれる中田なくして、日本一は成しえなかった。

形はブサイクだろうが何でもいい。来季も勝利に直結する一打を、一本でも多くーー