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センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

幕下が熱い?18歳「弱虫」力士の挑戦

社会

歴史上、日露戦争は日本の勝利と我々は教えられるが、多大な国力を消費し、その後の日本経済は逼迫した。はたして、日本は本当に戦いに勝ったのだろうか。完全勝利など決してあり得ぬ、それが戦争の、戦争である所以であるけれども、やはり人間、不毛な争いごとはできるだけ避けて生きたい。 

 

その上でいかに外交を優位にすすめていくか。‥孫子にある「戦わずして勝つ」。私はこの思想というか、発想が好きだ。

 

 

「戦わずして負ける」は、誰も訊いたことがないだろう。要は単なる“逃げ”の語感である。

スポーツの分野において、こと大相撲で不戦勝・不戦敗といった言葉をよく耳にするが、ケガなどを理由に土俵にあがれなかった場合に大抵はいう。

しかし、相手と同じ土俵にあがりながら“戦わずして負けた”男は、私自身初めて見た。9月場所の「敗退行為」が波紋を呼んだ、服部桜の取り組みである。

組む(触れる)前に自ら手をつき、尻をつき‥三度の仕切り直しのすえに、ようやく決着がついた錦城との一番。‥失笑交じりの爆笑が沸き起こった相撲の客席を見たのも、これまた初であった。

当然、無気力相撲とみなされ、師匠である式秀親方も厳重注意を受けたそうだが、当人の服部桜は、いたって「大マジメ」だったという。

 

 

 


八百長? 無気力相撲 服部桜ー錦城

 

 

‥訊けば、敵の情報を事前にインプットしすぎて、恐れをなしてしまった。つまり、恐怖心からの“尻込み”。またこれを服部桜自身が口にしているところがウケる。錦城が怖かったと。

どれだけ素直なんだろう。我々庶民が錦城を前にしたら、たしかにビビッてしまうだろが、これが日々稽古している力士の言葉なのかと。‥取組後、実母に対して、彼はあのときの心情をこう吐露していた。

 

 

『自分でも、まさかあんなふうに身体が反応するとは思っていなかった。お母さん、悔しいよ』 (※1) 

 

 

服部桜、18歳。

なんとも愛らしいではないか。件の一番を見ていても判るように、ここまでも本当に勝てていないそうだ。とことん弱い力士というのも、逆に母性(父性)をくすぐる。1勝しただけで、まるで「奇跡」ように扱われ、国技館は拍手喝采!

‥そんな力士が、一人くらい居てもいい。私的には今、遠藤よりも声援を送りたくなる日本人力士だ。

 

 

八百長問題が発覚した時期もあった。だが、「八百長」と呼ばれるような行為は、普通、周囲には悟られないように行うもの。あれほど、あからまさにやる力士はいない。情報をインプットしすぎて、ビビッてしまった間抜けな力士‥もとい、現代っ子な力士。インターネットを嗜んでいるのなら、是非彼にもブログをやってほしい。ネットの世界では横綱になれる可能性がある。

 

ただし、相撲でも何でもそうだけれど、一見弱者が強者に挑む姿が美しいのであって、今回のようなことを本業で繰り返していては、いずれ飽きられてしまう。猛稽古を重ねて、しっかり「戦って勝つ」雄姿を、いつか我々にーー

 

 

(※1)週刊新潮 2016年 11/10 号 [雑誌]より