センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

本当の浦島太郎

お正月‥いくらか休むことができるのだが、単身の私にはこの期間、けっこう暇だ。面白いテレビもやっていない。ひたすらネットサーフィンをしているのもなんだし、有り余る時間を利用して、この際、日ごろ目にしない映像作品に目をしようと、事前に某レタルショップでDVDを大量に大人借り?してくる。

 

どうせなら、これまで目にしたことのない作品の方がいいと思い、いつか視ようと、あらかじめ「ほしいものリスト」に入れておいた作品群をスマホで確認しながら、該当するDVDを探すのだが、そうこちらの都合よくは、向こうも在庫を取り揃えていない。

 

第一候補エウロパ】なし。第二候補【シークレットウインドウ】これもなし。

‥本とちがい、レンタルショップでDVDを探すというのは、なかなか面倒な作業だ。大抵は、旧作であれば各ジャンルごとに分かれている。【エウロパ】ならSF‥か。でも後者なら、いったいジャンルは何に該当するのだろう。まずここから入っていかなければならぬ。店員さんに訊けば手っ取り早いのだが、なんとなく趣味や嗜好がバレてしまいそうで、気が引ける。

 

 第三候補ビューティフルドリーマー】。ありました。

高橋留美子原作「うる星やつら」の劇場版。同作品に対し、筆者は特段愛着は持っていないのだけれど、amazonなどで見ると、異様に評価が高かった。作者が作風を気に入らなかった等々‥いろいろ物議も醸したそうだが、同じ日を何度も繰り返すとか、いかにも私好みではないかw

 

 

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

 

 

登場人物のキャラ設定や人間関係、事前知識を持ち合わせていなかったにも関わらず、作品に入り込むことができた。いってみれば、カラクリはそのサブタイトル通り。なぜかコテコテの関西弁を話す悪者が、そうしたリフレインする世界を生み出していた。

 

終始ドンヨリとした感じだったのだが、本来の「うる星やつら」は、おそらくもっと明るいタッチで描かれているのだろう。高橋氏も、この辺がお気に召さなかったのかもしれない。

友引高校の生徒たちを力強く引っ張っていた、サクラという名の美しきお嬢の姿に惹かれた。あとで調べたら、その声の主は鷲尾真知子であったとか。‥少しだけ、幻滅した。

 

 

内容にも関係してくる、浦島太郎の話。

竜宮城から地上に戻ったあと、彼は開けてはいけないと云われていた玉手箱を開いて、お爺さんになってしまう‥‥そんなおとぎ話であるが、私は一部誤解していた。【ビューティフルドリーマー】を視、あらためて確認してみると、太郎が竜宮城で過ごした夢のような時間、そのとき地上ではもう何十年も時間が経過していたという。だから、知り合いがいないのも当然。彼は「時空」を超えていたのだ。

 

太郎がラストにお爺さんになってしまう‥‥それだけクローズアップされがちだが、周りの人たちも、正しき時間を経たうえで皆、歳はとっていた。‥この物語のいちばん大事な部分を、私は押さえていなかった。

したがって、サクラが乗り合わせたタクシー運転手。結果、謎解きの鍵を握るその男が口にしていた言葉、村の人たちも一緒に亀に乗っていたら‥‥の発想が、今までになく新鮮だった。村人全員で竜宮城に行っていたら、彼らはその後、どうなっていたのであろうか。本作に通じる部分もある。

 

 

そういえば、昨夜の紅白歌合戦にも出場した桐谷健太が、テレビCMで玉手箱らしき物を開き、どうしてか、老化して喜んでいるシーンがある。あの箱から出る煙は本来の姿を映し出す‥‥地上に舞い戻った頃には別世界となった光景を目の当たりにし、さらなる驚きが待っている‥はずである。彼が本当に“浦島太郎” なら。