センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

【ぼくは明日、昨日のきみとデートする】 七月隆文

『わたしたち、ほんとに恋人になったんですね』

 

 

象徴的だった、この愛美の言葉。公開中の映画でもあるのだろうか。

高寿の燃え上がる想い、でも彼女は‥‥。二人の間には決定的な「温度差」があった。

それまで何回も会って距離を縮めてきたはずなのに、そう感じていたのは彼の方だけで、むしろ二人の距離は遠くなってゆく。彼にとっての“最初”が、彼女にとっての“最後”。愛美の本当の涙の理由(わけ)、すべてを知った高寿はーー

 

 

七月隆文著【ぼくは明日、昨日のきみとデートする】を読んだ。まず率直な感想を言おう。

 

最高だった

 

「読み物」とすれば、何かと比較されることの多い【君の名は。】の比ではない。久々に“モロな”恋愛系小説を読んだのだけれど、読後、素敵な本と出合えたという幸福な余韻に、私はしばらく浸っていた。

 

 

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彼女に隠された秘密‥あの発想は、思いつかなかった。時間を遡ったり、未来に行ったりする物語は多いが、この小説はどちらにも当てはまらない。ふたりは、ちゃんと「一方通行」な時間を刻んでいる。

偶然に交わった、限られた時間の中で愛を育もうとする愛美。‥本のうたい文句としてある「最初から読み返したくなる」は、愛美のそんな懸命な姿を、読者は「確認」しに行きたくなるからだ。

 

‥ネタを明かさずに、こう書いても話の概要はなかなか見えてこないと思うが、いささか現実離れした「世にも奇妙な物語」が好きなような人なら、まず間違いはない(笑)。なおかつ現在進行形で恋愛をしている、または好きな人がいるといった人でも、彼・彼女と“過ごせる”時間を、今までよりももっと、大切にしたくなってくる....

 

自分も、もう一度「恋」がしてみたくなった。

 

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)