センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

恋愛のマジック

「せっこぉ‥せつこぉ‥」 そう嗚咽する、兄の声。

 

 

失礼ながら、「節子」の名を聴いて、まっさきに思い浮かべる顔は【火垂るの墓】の節子ちゃんである。

原節子という立派な女優さんもいらしたが、私が物心ついたころには、すでに一線から退いていた。したがって、あの“せっちゃん”の方が、ひょっとしたら我々の世代には馴染み深い「節子」かもしれない。

 

 

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最近あらたな節子がメディアの前に現れた。山辺節子、62歳。

 

古き良き昭和チックなお名前に、いささかの抵抗‥いや、実年齢を“カバー”するような目的も、そこにあったのだろうか。‥彼女は男の前で「絵利子」と名乗っていた。だが、驚くべきはそんなことじゃあない。

 

24もサバをよんでいた年齢ーー

 

その事実と、62歳には不釣り合いともとれるファッションに身を包んだ、彼女の特異性が大きな話題となった。だから、山辺が何をして「容疑者」となったのか、わからない人も結構いらっしゃるのではないか。実際、私がそうである。

 

 ‥犯した罪のことは置いておき、このオンナ「すごいな」と思った。もう一つの顔の絵利子は、筆者とタメである。厳密には、早生まれの“設定”をしていたから、絵利子は私の年下。62歳がアラフォー女性として、公然と振る舞っていたのだ。

 

やむを得ずヒトがサバをよむとき、遠慮や後ろめたさもあって、せいぜいプラマイ5歳くらいが妥当な線。さすがに20以上も欺く人間なんて、それまで訊いたこともない。

肝心の山辺の容姿だが「見ようによっては、38に見える」であれば大したものだったが、正直まったく‥。どうみても30代のオンナには見えなかった。滞在先であったタイ人男性には、あるいは彼女がそのように映ったのであろうか。

 

‥もっとも交際相手は、山辺の本当の年齢を会った日には知っていたと訊く。ただ、彼は知らないフリをして交際を続けていたらしい。まるで「世にも奇妙な物語」な世界観。

愛する人と一緒にいたい‥。だから彼女の歳について一切触れてこなかったのだとすれば、なんとも泣ける話だ。むろん、男にとって山辺は“金蔓的”な存在であった可能性も大いにあり得るのだが。

 

 

一方、カノジョの方に目を向けると、年齢を欺いたりしたのも、これもまた、愛するカレのためであったそう。つまり、若いボーイフレンドに気に入られたいあまり、若作りに励み、絵利子(38)に成り切っていた。

‥留置場で綴った手記(※1)を読むかぎり、一連の犯罪と、その“成りすまし”に関しては「別問題」と考えてもよさそうだ。たしかに滑稽だし、やりすぎの感も否めないけれど、こういった見方もできる。

 

恋のチカラがオンナを変えた

 

38には見えないが、他方「変身後」の姿は62歳にも見えない‥。実年齢をおもえば、彼女は格段に若い。若く見える。そこに涙ぐましい、オンナの努力の跡が垣間見えてくるのだ。

恋愛のマジック‥‥。いくつになっても恋ができ、オンナでい続けられた山辺は、だからこそ、年齢に抗った若さを保てたのかもしれない。この部分においては、ある種、彼女を羨望すらしてしまう自分もいた。

 

「同世代」の阿川佐和子(63)氏が先日、結婚を発表した。年齢を重ねても結婚はできるし、もちろん恋もできる。要は、なんでも“心の持ち様”ということだ。ときは高齢化社会の真っ只中。先行きがみえない、不安だらけの暗い世の中であっても、できれば多くの人たちに、恋愛はしてほしい。汚れなき恋愛を。

 

山辺容疑者のせいで多くの出資者が迷惑を被っているわけだし、決して褒められた人間ではないが、人が恋をしたときに起こる、見た目の化学反応‥‥恋愛そのものの素晴らしさ、尊さを、思い出させてくれる気がした。

 

 

山辺容疑者を連行する、パンツスタイルの隣の女性が気になって仕方ない

www.nikkan-gendai.com

 

 

(※1)週刊新潮 2017年 5/4・11合併号 [雑誌]

 

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