センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

相撲ファンじゃなくても愉しい? 【平成二十九年版 大相撲力士名鑑】

昔のスポーツ映像を見ていて「感動」をするのは、大相撲である。

 

 

相撲について特別な知識を持たない僕が、ではいったい何に感動をしているのかというと、その場の「風景」だ。昭和の時代も今も、何ひとつ変わらない風景‥‥

 

コレと少し似たことがいえるのに「高校野球」がある。しかし近年は、ユニフォームが幾分カラフルになったり、ヘルメットの形状も変わったりと、以前に比べ、“変化”を感じさせる部分がないこともない。また、高校野球はスタンドの景色をよく映すので、観客や応援団のスタイルによって、別方向から時代を感じさせられるときもままある。

 

その点、相撲は戦の舞台となる土俵しかり、力士の大銀杏と廻し姿‥‥行司の格好まで、“一貫”している。訊けば、江戸時代から続いてきているそうな。したがって、大昔の取り組みを現代で見ても、何ら違和感なく入り込んでゆける。多少、映像自体の古臭さはあったにしても。

 

国技である以上に、こうした“変わらなさ”が、今では世界的に根づよいファンを持ち、相撲が愛される要因であるのかもしれない。‥前述のように、筆者は相撲に強い関心を寄せているわけではないが、やはり、場所中となれば白黒結果は気にしてしまう。

 

つい先日は、稀勢の里の休場が決まったのだとか。久々に誕生した日本人横綱‥。ファンならずとも彼の怪我の具合は気になるところだ。稀勢の里人気もあり、昭和時代にも匹敵する盛り上がりを、ふたたび見せてきているのに、あやかったわけではないが、ついに僕も、生まれてはじめて【力士名鑑】という書物を手に取った。

 

 

大相撲力士名鑑 平成二十九年版 (明治・大正・昭和・平成の歴代幕内全力士収録)

 

 

これが“大アタリ”だった。

いわゆる売店などで売られている単純な名鑑ではなく、なんと“明治時代”からの全幕内力士のプロフィール、戦績、簡単なエピソードが収められている。昔からの大相撲ファンにとってはまさに垂涎ものであり、浅い知識しか持たぬ僕のような人間にも、たいへん有意義な代物であった。

 

イロモノ好きの自分としては、とりわけ力士の寸評に目がいってしまう。これがまた、なかなかユニークで、“雑学”を仕入れるのにも、もってこいだ。たとえば、横綱朝潮の欄から一部抜粋....

 

『巨体、男性的な風貌、胸毛と、大豪力士としては早くから有望視された』

 

「胸毛」といえば、今の高安が有名だけれど、“元祖”がここにいた。その当時の愛称も傑作で、前頭2枚目の琴若が『コンコルド』、大関の魁傑は、輪島・貴乃花らと阿佐ヶ谷姉妹ならぬ『阿佐ヶ谷トリオ』などとも呼ばれていたらしい。また、明治時代の力士・寒玉子為治郎の四股名の由来は、『寒の玉子のように、ジッと辛抱すれば必ず出世する』そう師匠に励まされたからだそうで、僕はその意味を、ジッと考えこんでしまった。

 

 全般を通じ、他にも気づいた点がいくつかある。ひとつが『美男』(またはそれに近い表現)と評される力士が、明治時代から多くいた点。鉄甲(てつかぶと)宗五郎、清ノ森政夫、鯱ノ里一郎、明武谷清、霧島一博etc....

引退後に、まだ歳を若くして亡くなってしまった元力士も、けっこう目についた。たとえば本書199ページで紹介されている隆の里俊英横綱千代の富士横綱青葉山弘年(小結)は、それぞれ享年59、61、46歳であったし、やはり、あの体型は見た目以上に、相当な負担が身体にかかっていたのでは‥‥そんなふうにも思えてきてしまう。 

 

レスラーまたは格闘家に転身した力士が多いのは、力道山の影響を受けてのものだろうか。清美川梅之や神若淳三、天龍源一郎双羽黒光司、さらに有名どころで輪島大士曙太郎と‥枚挙にいとまがない。

 

元アイドル・高田みづえの旦那(若島津六夫)が力士だったことを初めて知り、読売ジャイアンツに所属する山口俊の父親谷嵐久)の力士時代の姿を見るのも初‥‥。僕ははたして、本書を有効的に活用していたと、胸を張っていえるだろうか(笑)

 

では最後に、横綱大関昇進後にパッとしなくなってしまう力士も、わりと多くいた。充足感からくるものなのか慢心なのか‥‥その辺の事情は筆者には判らないが、少なくとも稀勢の里がそうならないことを、今、日本国民が願っている。

 

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