センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

最近読んだ傑作本 【空想科学読本】 柳田理科雄

少し古いネタだが、ヒアリが日本へ本格的に上陸した模様....

 

 

長年弱い生物の代名詞のように扱われ続けてきた蟻に怯える日がやって来ようとは、人類の無力さを、あらためて感じてしまう。でも、そのヒアリの天敵が「ノミバエ」という、蝿の一種であるところも、なんとなくおかしい。

 

昆虫つながりで、僕が最近怖いなと思ったのは、アマゾンである。密林地帯の方ではなく、ネット通販の方の、あっち。

書店などでは手に入らぬマニアックな本は、概ねAmazonさんで購入している。‥購入にあたっては文才豊かなレビュアーのご意見を参考にさせてもらう機会も多い。実際に手に触れることができない分、ここはネットの強みを最大限生かしたいところであるが、ときにその“ご意見”に振り回されてしまった経験‥皆も一度はあるのではないか。

 

【バッタを倒しにアフリカへ】 前野ウルド浩太郎著。

 

 

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バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

 

 

 Amazonでもベストセラーとなり、口コミも極めて肯定的な意見が多い。さすがにこれは“ハズレ”がないだろうと思い、購入に至ったが、僕的にはヒットしなかった。

読者レビューにより、期待値を事前に高くしすぎたせいもある。が、意見で目立った「ユーモラス性」は、そこまで本書に見いだせなかった。今回、本当に紹介したい本はこちらではないので詳細は割愛するが、まず、本のタイトル名と表紙に一杯食わされた格好‥。

ただ、その点においては、著者の“狙いどおり”であったともいえるのだろう。前野氏は本を売る必要があり、「有名人」にならなければならない‥ある理由があった。まず“見た目”から入らせて、本を読ませる。元々が有名人ではなければ、この手口は、けっこう有効的かもしれない。

 

彼もここではてなブログをやっているらしいけれど、本の内容もどちらかといえばブログ寄り。バッタの生態は‥ほどほどに、現地・アフリカでの生活の模様を中心に描かれている。アフリカに渡った動機が、何より奇抜で、そこに惹かれた読者が大勢いたのだろうと推測。‥というか、もう言ってしまえば、その「バッタに食われたい」動機こそが最大のユーモラスであって、内容的にはほぼ“トラベルもの”であるといってもいい。同じ紀行本、同じサハラ砂漠を舞台にした書物なら、僕は【サハラに死す――上温湯隆の一生】を強くお勧めする。

 

むろん、バッタは本の中に何度も登場してくるけれど、純粋たる「バッタ本」という向きでもない。「主役」は、あくまで彼‥。バッタではない。

本の内容以前に、皆が良いといっている本を、“良いとは感じられなかった”僕自身が、むしろ残念だ。

 

 

一方、面白かった本。柳田理科雄空想科学読本 ー3分間で地球を守れ!?ー】

 

 

空想科学読本 3分間で地球を守れ!? (角川文庫)

 

 

著者のことは、あまり存じていなかったのだが、この方は 突き詰めている(笑)。少しでも疑問に思った事象を、科学的な?分析力によって、その答えを導き出し、読者を納得させる。

研究の「対象」も、それこそユーモアに溢れていて、たとえばアンパンマンの項『あの大きな顔を抱えての生活は、アンパンマン自身もなかなか大変ではないだろうか』とか、みなしごハッチの項であれば『ハッチはなぜママだけを探して、パパを探さないのだろうか』(笑)であるとか、誰も思いもつかなかったような独創的な着眼点が、とにかく可笑しい。愉快。

ママしか探さないハッチも、実は蜂の生態と密接に関係があったと知り、唸らされた(はたして原作者の吉田竜夫氏の方に、そこまでの意図があったかどうかは不明だが) 。

 

僕が読んだことも、見たこともない「ONE PIECE」や「デビルマン」絡みのエピソードなどもたいへんに興味深くて、つい読みふけってしまう。筆者の分析力、筆力には誠に脱帽だ。またアニメ以外にも『バレンタインデーにチョコレートをもらえる確率を科学的考える』といった、知っていてもあまり役には立たなさそうな?「くだらな科学」も満載。今年読んだ本の中で、僕的にはまちがいなく最高傑作。

 

‥書評家が集うサイトで、「バッタを倒しに」を今の僕と同じように「今年ナンバー1」に挙げる方がいた。本のジャンルこそ違えど、バッタをあまり受け入れられなかったひねくれ者‥もとい、人とちょっと違った感性をお持ちの方なら、この【空想科学読本】、あなたのハートを射抜くこと請け合いです?《☆☆☆☆☆》

 

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