センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

「のじまにあ」だった日々..... PART.2

◇ひとつ屋根の下

 

 

小雪が他の兄妹たちと血が繋がっていなかったことは、先に述べた。この「事実」が事態をややこしくし、小雪は達也に想いをよせ、逆に次男の雅也には想いを寄せられるといった“三角関係”が、ひとつ屋根の下で勃発する。さまざまなトラブルと並行して描かれる「近親愛」が、同ドラマの見どころでもあった。

 

すでにアイドルとして名を馳せていた酒井法子以上に、「ひと屋根」でステップアップした俳優は、なんといっても柏木雅也役の福山雅治だろう。病床にあった女優(内田有紀)とのロマンスを展開しつつ、ひそかに小雪を愛し続けた医学生。ただ、初期の頃は何かと金でモノを言わせる、嫌味な男だった。

大学の入学資金確保のため、キャバクラでバイトを始めたJKの小梅。そこから身を引かせようと躍起になる兄妹たちの中にあって、雅也が言い放った、あの一言‥‥

 

なんなら、店ごと買い占めてやろうか?

 

学生の分際。しかも義理の親のカネでなに抜かしてんだ、この野郎!となるが、あの福山が口にすると自然だから怖い(笑)

 

くだんのいしだ壱成は、三男の和也役。明らかに達也寄りの遺伝子を持った、普段からキレやすく、喧嘩早い男だけど、根はいいヤツという‥非常に分かりやすい不良(ワル)だった。

彼は前年放送のドラマ【放課後】で、ちょいワケあって、女の子の役を演じていたのが、このときは一転して猛々しいキャラへと変貌。和也の演技がよほどお気に召したのか、以後「野島ドラマ」の常連となる。

金庫破りの疑いをかけられたり、好きな女に裏切られたりと、中盤までは散々な役回り‥。しかしドラマも終盤になって、ようやく和也にも見せ場が訪れる。不良グループから抜け出すために、決死の覚悟で親玉と対峙する和也‥‥

 

俺はあんたが怖かったよ。何も失うものがない人には適わないからね。

けど、失うものがない人より、守るべき人がいる!

そっちの方が強いんじゃないかなって。

 

「ひと屋根」屈指の名言である。このセリフのあと、果敢にひとりで立ち向かっていったのだが、よくぞ生きて帰ってこれたものだ。一緒にいた姉・小雪は、和也を置きざりにして、ちゃっかり達也のマラソン大会の応援に行っちゃってるし。

 

 

Cinema☆Cinema no.24【香取慎吾「座頭市 THE LAST」】

 

 

◇未成年

 

壱成つながりでは【未成年】。並みいる若手俳優をおさえ、堂々“主役”を張ってみせた記念すべき作品。後年の彼をみていると、このドラマで演じた戸川博人役は、かなり自然体でけっこう「素」に近かったかもしれない。

【ひとつ屋根の下】に続き、異性にはモテない役だったが、幼馴染には想われていた。彼自身が恋をしたのは、なんと兄の恋人兼家庭教師。いかにも野島伸司ぽい。

兄役・谷原章介の現在の妻は、いしだ壱成の元嫁。これリアル。両者にとって【未成年】というドラマが、なにかひとつのターニングポイントであったような気がしてならない。

 

18には見えない、渋すぎる反町隆史。今だと危うい可能性もある『インポ』が愛称の北原雅樹など、斬新なキャスティングのなかにあって、いちばん目を引いたのは、香取慎吾である。「常連」になった壱成に対し、香取の次の野島作品は13年後、【薔薇のない花屋】まで待たされる。

 

SMAP時代の同僚、中居正広も気に入っていたという【未成年】での香取慎吾は、知的障害を持ち、周りからは『デク』と呼ばれていた。筆者は障害の程度などに明るくはないが、あのドラマをみるかぎり、デクの障害は「重度」だったと思う。屈託のない笑顔や振る舞いに癒されながらも、彼がある重大な事件を引き起こし、ドラマはクライマックスを迎える。 《続く》

 

 

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