センテンス・オータム

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【読書記録】ー筧千佐子 60回目の告白 ルポ・連続青酸不審死事件ー

私の知り合いに、毎度こういった発言をするバカ女がいる.......

 

『旦那に餌をやる』

 

なんかコレを聴くたび、腹が立って仕方がない。男を見下して‥などと正義感を振りかざす気は微塵もなく(関係もないし)、ただ当該女性が曰くエサ(自身の手作り料理)に釣られて旦那は結婚したのだという、上からな目線に腹が立つ。たしかに腕には相当自信があるようだ。けれども、料理ができるからなんだというのだーー

 

こんなことを書くと、若干耳が痛い紳士もおられることだろう。ちょっと昔の男ほど相手に望む条件の最上位に「料理」を挙げる人も多い。‥裏返せばこの条件を満たしてさえいれば女性の側は大きな“武器”となり、多少の欠点はカバーできる。料理(+お菓子作り)の腕前がプロ級であったともされる木嶋佳苗死刑囚が、その典型ともいえるではないだろうか。

 

‥主に再婚を望む、高齢者男性に狙いを定めて保険金を詐取していたという点では木嶋と一緒。私が最近知った書籍に登場する筧千佐子という女も、おそらく一見手の込んだ料理でもてなし、虜にさせ、あげく毒物を飲ませて複数の男たちを死に追いやってきたらしい。

 

 

筧千佐子 60回の告白 ルポ・連続青酸不審死事件

 

 

彼女が得てきた莫大な遺産、それをどう使っていたのかは本書で初めて知ったのだが、あらためて哀しい女だ。投資で被ってきた負債を賄うため‥‥。得た金を車やら高級マンションやらに充てた木嶋とは、まずそこが異なる。したがって反省の色はほとんど見られず、いや、そもそも殺人の“実感”すらないといった態で、遺族に対して謝罪の言葉は一向に聴こえてこない。本人にその自覚がないのだから、もう死ぬまで謝罪はないのだろう。

 

一時期ウワサされていた、彼女自身の認知症の気。その後、たしかに軽度な認知症は認められたそうだが、日常生活に問題はない程度。拘置所で丹念に面会を重ねてきた著者とのやり取りを見ても、会話は成り立っており、一応“正常”のようだ。

『罪を憎んで人を憎まず』という部分で、著者の目に映った筧千佐子は本当に、関西人特有(出身は九州)の明るいノリを併せ持った、普通のオモロイ「オバちゃん」であったという。しかし、目の前にいるのは複数の男性を殺した稀代の女性殺人鬼。この恐ろしすぎる事件とのギャップ‥‥。彼女の深い闇は、とうの昔の出来事によって形成されてしまったようだ。

 

膨張した裁判記録はもちろん、犠牲者とのメールの内容、消防や業者と筧千佐子が交わした通話記録まであり、いかに彼女が「仮面「を被っていたが、生々しく伝わってくる。金の引き出し方、劇薬を用いた殺害の手口は巧妙。これにより、しばらく発覚しなかったことで事件は長期化している。

話術にも長け、次々男性を魅了してきたという彼女だが、結婚相談所を通じ、当然、交際に至らなかったケースもあった。再婚を望む男性は、ここを読んでよく注意してほしい。貴方の財産遺産を狙う「第二の筧千佐子」がいないとも限らない。

またベタな彼女からの“恋文”が目立つなか、私が注目したのはこの一文、この文章。

 

いま、葬式の帰りです。晩ご飯、待っててね

(第6章 【妄語】より)

 

彼女に手によって翌日殺害されることになる、男性に向けて当てたメール。

あたたかな食事。あたたかな家庭を再度築くことを夢見て、ワケも分からないまま逝った、高齢男性たちの無念‥‥察するに余りある。こうしたオンナに決して引っ掛からないため、騙されないために‥もう今世の男たちは自ら台所に立つべきだ。

私もそう覚悟をした次第、である。

 

 

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