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【幼子を救うヒーロー?「魔法少女ユキコ」見参】エースの映画日誌ミニ 《2019年3月3日版》

TBS系【中居正広のキンスマ】に出演していたサンドウィッチマンの回は(3月1日放送分)、デビュー前から「好きな芸人ランキング」ナンバーワンに昇りつめた今日までの躍進ぶりを、再現VTRなども交えて紹介。「スペイン公演」を無事に成功させたところで番組は終わった――

その際に少し気になったのが、近年、スペインでは日本文化を積極的に取り入れようとする国民が多いと触れていた点である。

というのも先日、個人的に視聴していたのが、たまたまスペイン映画でシンクロ‥だけでなく、劇中に日本の歌謡曲が流れ、日本発のアニメキャラまで登場していたのだ。その抜擢の理由をキンスマを視聴し、おぼろげながら理解した次第。2016年公開(日本)【マジカル・ガール】を観た。

 

 

マジカル・ガール(字幕版)

 

 

失業中であるうえに、娘のアリシア白血病で余命いくばくもないという過酷な状況に置かれているルイス。ある日、彼は日本製アニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンである娘が、キャラクターのコスチュームを着て踊りたいと願っているのを知る。父親としてアリシアの望みをかなえるべく、高価なコスチュームを手に入れようと奔走するルイス。しかし、そんな彼の決意と行動が、元教師ダミアン(ホセ・サクリスタン)と心に闇を抱えている女性バルバラを巻き込み、悲愴な事件を招くことになる シネマトゥデイより

 

 

わりと「苦痛」だったというのが、正直な感想か。

しかし、これは観るに堪えない駄作だったとかの意でもなくて、それこそ“文化のちがい”を痛切に感じてしまったからなのである。上のあらすじにある通り、難病に侵された娘を救うため、元気づけるために懸命になる父親を主軸に描かれていくのかと思いきや、まったくもって予想外‥日本ではまず考えられない方向へ展開されてゆく。‥その一部始終を、B級週刊誌ふうに描写してみよう。

 

 

男は、どうしても金が必要だった。いよいよ切羽詰まった現在無職の彼は、強盗を企てることに。金を持っていそうなブティックに目をつけ、突入を決心したそのとき‥‥上から降ってきたのは、なんとゲロ(吐しゃ物)! ベランダから人が吐いていたのだ。

 

『どうか私にシャツを洗わせてください』※普通なら弁償ものだろう‥

 

 慌てて外に飛び出してきたのは、若い女。ゲロを浴びせてしまった相手が本当は強盗を計画していたとは、もちろん彼女は知る由もない。幸い旦那は留守だ。男を家に招き、丁重にもてなす。シャツを洗濯している間、最近、夫婦仲がうまくいっていない彼女は、無性に人恋しくなった。

あぁ私を抱いて‥‥。そう言わんばかりに突然寄り添う女。最初は困惑していた男も、不思議な色気を前にして――

 

 

‥‥多少表現の仕方におかしな箇所もあるだろうが、ほぼほぼ合っていると思う。にわかには信じられないかもしれないが(笑)、これが後に双方の運命を変えた、男と女の、出会いのシーンだ。

突発的だったとはいえ、ゲロをわざわざベランダから吐く人間がいたのも相当だけれど、いやいや驚くのはまだ早い。セックスのあと、男の方が女を“ゆする”のである。誘ったのはお前の方だ、旦那にチクられたくなければ金を出せと。テメーで美人の人妻を抱き、良い思いをして、だ(笑)

中年男の言い分だけがまかり通ってしまう。‥日本では、そうそうお目にかかれない事例ではないか。

法外な金額を要求してくる男に、素直に応じてしまう女が、私は不憫でならなかった。たしかに精神は病み気味であったし、男も「証拠」を持っていたが、それでも自らの体を売ってまで大金をかき集める様は、誠に痛々しかった。

 

 

男がカネを必要としていたのは、手術費用を稼ぐためでなく、娘の好きなアニメキャラのコスチュームを買い与えるため。ほとんど笑顔を見せない強面の父親だったが、案外お茶目な一面も持ち合わせていた。それにしても、日本円にして一式300万近く‥。スペイン国内における「魔法少女ユキコ」グッズ、おそるべし。

 

父娘と脅迫された女、そしてもうひとり、本作には重要な登場人物がいる。元教師のダミアンだ。実は彼こそが、くだりの女性と“ただならぬ”関係にあったのだ。

予想は裏切られ、感動も何もない。‥ただただ苦しく、救いようのないラストで、さらにダメを押されてしまった気分。

劇中歌として使用されていたジャパニーズ長山洋子【春はSA・RA・SA・RA】。まったく冗談じゃない。視聴後の私はもう「KU・RA・KU・RA」であった。

 

 

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