例によってこれからだいぶ偉そうに、必要に応じて手厳しいことも書くが、私は自称・「奇」専門家。お見知り置きを――
9日(土)放送、世にも奇妙な物語「秋の特別編」をリアルタイムで視聴した。だから、全話一度しか視聴していない。‥が、それで十分。“二度見”したいと思えるほどの良質な作品とは、あいにく今回も出合えなかった。
とはいえ、目を覆うほどのひどい出来ではなかったようにも感じている。あくまで私は満足できなかったけれども、ライトな番組のファンなら、そこそこ愉しめたのでないか? というのが、専門家である自分の見解だ。その辺りの理由も含め、毎シーズン恒例、印象に残った順から一話ずつ、さっそく振り返っていこう。
♪恋の キオク~
画像はイメージ (C)amazon
【恋の記憶、止まらないで】
ダントツでよかった。
なにせ往年のファンには嬉しい斉藤由貴の生歌付き(!)もそうなのだけれど、奇妙作品として、見応えがあったのも当話がベストだったのではなかろうか。“パクり”の元は、古い1本のビデオテープ‥。この発想と、そこに収められていた「宮島素子」なる女性が醸し出す、不気味さがすばらしい。ナイスな人選だった。
徐々に追いつめられていく、狂気の斉藤由貴の演技もさすが。久々に名作キターー! と思いきや、ラストが味気ない。尺の問題ではないのだろうが、最後はストーリーテラー任せで、何か強引な印象を受けた。物語の「顛末」をしっかり描いて欲しかった。それまでが良かっただけに。
‥ストーリーテラーといえば今回は総じて、タモリのセリフが近年になく多かった、気もする。「世にも」で見せる、とぼけた少しお茶目なタモさんが私は大好きだ。
【コールドスリープ】
これは「初期設定」の良さが長けていた。主人公が不治の病にかかり、コールドスリープ(人工冬眠)による治療を決断。そして、4回可能だという、覚醒‥。事前に告知されていたあらすじには、実に好奇心をそそられた。
が! 蓋を開けてみれば何てことはない。「世にも」お得意の、タイムワープものだった。若干してやられたりな気分‥。意表突く終盤のハートフルな展開はマズマズながら、冒頭の宇宙旅行の件がまさか、主人公(ムロツヨシ)が死んで“お星さま”になった‥‥そう解釈せざるを得ないオチは、たいそう視聴者の失笑を買ったこと請け合い。
【ソロキャンプ】
ある意味“奇妙らしさ”で言うなら、当作品がイチバンだったか。ありがちな、いわゆる「因果応報」的ラスト。悪くはなかったけれど、主人公(板尾創路)の職業が医者と知れるのは、もう終わりの方。事前に薄っすらヒントでも頂ければ、また別の視方ができて良かったかも。‥あるいは二度見必至な夢・妄想テイストで攻めてみるとか。リアルガチにソロキャンプ好きという芸人のヒロシにもぜひ、当作品の感想を伺ってみたいところだ。
【恵美論】
筆者のような中年層が「世にも奇妙な物語」好きで有難いのは、今が旬?の可愛い女優を知れること(笑)。当作品で主演を務めていた白石聖(しらいし せい)という役者は初見だった。
10分程度の短いショート作品。けっきょく何が「答え」なのか、誰も分からない。突っ走って、逃げるが勝ちのごとく。レギュラー放送時代によく見られたタッチで、ノリノリな作風がどこか懐かしかった。‥‥‥にしても、制服姿がえらい様になってたなぁカノジョ。
ほんとは21歳
(C)amazon
【鍋蓋】
ネット通販を利用していれば以後、勝手に表示される「オススメ」。アレの世にも奇妙版。アプリに従い、包丁やらレインコートやら見え透いた品々を次々購入し、最終的に恋敵の同僚が主人公(杉咲花)と同じアプリ利用していてバッティング‥‥だなんて、非常につまらないオチを避けてくれたことだけが救い《了》
《前回放送分》