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【警備員のリアル「最底辺」表現に納得?】エースの社会科日誌 《2020年3月10日版》

大相撲が史上初の「無観客」、春のセンバツ高校野球もそうなる可能性が高い模様.......

 

 

なんとなくスポーツの印象が根強かったのだけれど、8日に開催されたR-1ぐらんぷりでも、これが適用。「無観客」のなかでネタを披露することとなった芸人たち。代わりにガヤ芸人と化した番組スタッフが、懸命に盛り上げようとしていた。

ゴールデンらしからぬ、そして絶対女性客ウケしなかったであろう(飲みかけの)缶コーヒーと、乳首をネタの中に取り入れていた二人の中年芸人‥。彼らがせっかくの?「無観客」を活かせず、ファイナルまで残れなかったのは残念だった。

 

 

少し遡って7年前の同ぐらんぷりで王者となった、三浦マイルド。彼が決勝で舞台で持ってきたのは、かつてのバイト経験に基づく「道路交通警備員」ネタ。パンチの効いた芸をご記憶されている視聴者も多いことだろう。最近、より新しいこの未知な仕事の実態を知った。柏耕一著交通誘導員ヨレヨレ日記】

 

 

交通誘導員ヨレヨレ日記――当年73歳、本日も炎天下、朝っぱらから現場に立ちます

(C)amazon

 

 

パッと見、自身が警備の仕事で赴いた「現場先」での出来事を綴っているブログ調のように見えるのだが、そこに時事ネタや私事ネタも邪魔にならない程度に散りばめていて、なかなか巧妙な筆致。‥読みながら、これを記した人物はタダモノではないと思っていたら、やはり、元々は出版関係の仕事に従事し、すでに何冊か著作もある文筆家の方だったらしい。

 

タイトルのとおり、同じ警備員でも「交通誘導員」に特化。最底辺の職業と自ら自嘲気味に語り、現在主力となっているのは主に70代‥‥なかには84歳で現役というツワモノも。‥‥その齢になってまで労働せねばならないのかと、戦々恐々とした次第であるが、裏返せば、たしかに門戸の広さは他職の追随を許さぬ、といった実情。

 

 

でも、どうだろう‥‥この本を読み、はたして『交通誘導員をやりたい! 』そう声を大にして、心からそう願う者が現れるかどうか。少なくとも、筆者は絶対この職にだけは就きたくないと思った。

 

‥‥いや、職種自体を否定しているのではなく、そもそも、この本にある事柄や事例といったものが、他人(同僚)への愚痴だったり皮肉であったり、また仕事をしていても一切『喜びはない』『感動もしない』などと、ハッキリ書かれているのだから。人間性が歪んでしまったとも。

 

土木系作業員の八つ当たりは日常茶飯事。ときには仮設トイレの移動を手伝わされて糞尿まみれとなり‥等々、誰の目で見てもあきらかな「3K」。さりとて、給与体系も厚遇とはいえず、誇張して本人は面白おかしく記したつもりなのかもしれないけれど、受け取る側は、とてもとても魅力的な業種として映らなかったのは、確かである。

 

振り返ってみれば、借金を作った家の親父もWワークとしてこの仕事をやっていた。帰ってきて、やたらストレスを溜めこんでいたのを未だに憶えている。現実には、まったく笑えなかった警備員のリアル‥‥。それを覗ける点において、また、これから臨む者が腹をくくるために、本書は有意義な書物といえる。

 

 

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