センテンス・オータム

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「未来のことは未来の私にまかせよう」 黒木奈々

世の中には、もっと他に死んだほういい奴がたくさんいるだろ!

 

 

そんなセリフ。ニュース、ドラマ、ドキュメンタリーなんかで、幾度か耳にした覚えがある。シチュエーションとすれば、病気や事故によって、不幸にも若くして亡くなった方に対し向けられるケースが多いだろうか。

 

身内でも何者でもない、まったくの他人でありながら、筆者もコレと同じことを思ったのである。ガンによって昨年9月、夭逝した黒木奈々。享年32歳。死去半年前に上梓した「未来のことは未来に私にまかせよう」を読んだ。

 

 

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そもそも、私は彼女のことを存じ上げず、訃報を伝える某週刊誌で初めて知った。そこに記されていた、亡くなる直前にLINEで知人に宛てたとするものの内容が、痛々しく可哀想で、黒木さんがどんなヒトなのか、とても気になった。一言一句正確に記憶していないが‥‥たしか、こういった内容だった気がする。 -頑張っても頑張っても、高い壁が現れて少し疲れました-

 

亡くなった後に読むと、よけいに辛い。最初のキャスター復帰を果たしたところまでを描いた、本書がどちらかといえば「希望」の書であるからだ。あのあと、また更なる「壁」が黒木さんの前に立ちふさがったのかと思うと『どうして彼女ばかりが』と、冒頭のような思いにさせられるのである。

 

32歳の誕生日を迎えた日。『来年は笑顔で十一月十二日を迎えられるように頑張る』そう記していた。まさか、33回目の誕生日が来る前に亡くなってしまうとは‥。仕事も軌道に乗り始めてきた矢先に病気が発覚し、闘病生活が始まる。どんなに無念だったろう。

 

でも、あの時期、自分なりに現実を受け入れて、彼女はたしかに前を向いて頑張っていた。『はやくキャスターに復帰したい‥みんな、待っているから』。これがモチベーションとなっていたのは確かだが、一方で若くしてガンを発病し、突如として死と隣り合わせになってしまった黒木さんは、心から読者に、こう訴えかける...

 

当たり前のことが特別で、幸せなことなのだ。がんが治ったら、そのことを噛みしめながら、毎日を楽しみたい ※「第三章 抗がん剤治療始まる」より

 

 当たり前のことが特別‥‥。胃を摘出し、次第に食べることも、ままならなくなってしまった彼女の言霊に触れていくうち、普段、自分が何気なくしていることすべてに、感謝をしたくなってくる。

 

ふりかえれば、昨年は黒木さん以外にも、ガンによって亡くなった著名人が結構いた。今井雅之さんや、川島なお美さんもそうだったように、病気を公表してから亡くなるまでの時間の早さに、驚かれてしまった方も大勢いらしただろう。

 

体がガン細胞に侵されるまで、概ね三年かかるそうだ。したがって病院で告知を受けたときにはもう手遅れだった、なんてケースも多い。それだけに、本書では早期発見のための定期検診の必要さと、(ガン)保険の重要性を黒木さん自らも説いている。

 

こうした「実用的」な事柄以外に、理想の恋愛観や結婚について綴っていたり、“グルメレポート”などもあったりして、やはり、そこは年頃の女性なんだなぁと、若干頬が緩んだ。

 

 

年頃といえば、この方、黒木さん‥。上記画像のように容姿端麗で、実は私が彼女に関心を持ったのも少しばかり?起因しているのだが(苦笑)、もうテレビでお姿を見られないのが、とにかく残念でならない。

 

「未来のことは未来に私にまかせよう」。未来という名の天国にいる女神・黒木奈々さん、どうぞ安らかに----

 

 

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