この連休中、久しぶりに書店を覗いてみた。自慢じゃないが、私の「守備範囲」は広い。‥悪くいえば「広く浅く」な読書傾向。
しかし、そんな自分でも、スポーツ系本棚‥‥今、見栄を張ってそう書いてみたが、こと「野球コーナー」には、毎回欠かさずに足を運んで目を通す。それまでは、どちらかといえば雑誌がメインだったけれど、最近はわりとニッチな野球本も登場してきているので、他にも目を通す。そこで驚いた。本棚が、
赤一色なのである
そう、広島東洋カープの関連本が今、巷でまぁ溢れかえっていること!その箇所だけ、さながら一足早く、クリスマスが訪れたようなのである。年度優勝チームの特集がくまれた便乗本などが発売されることはままあるが、まさかこれほどまでとは‥。「25年ぶり」の壮大さを痛感せずにはいられなかった。
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「赤」という色は、なかなかいい。瞼に焼きつくような、強烈な個性がある。いかにもカープ。赤といえばカープ。しかも、楽天みたいな中途半端なものではなく、もう紛れもない赤の中のアカ‥‥。だから、本の装丁も、判りやすくそうした。
このカラーを斬新にも球界に取り入れたのが、ジョー・ルーツだったという話を訊いたことがある。カープファンは41年前の、たった一カ月足らず指揮をふるった外国人監督に、感謝しなければならない。
しかしながら『赤といえばカープ』のように、そうした“オンリーワン”な色を持っているチームが羨ましい。昔は、特にパ・リーグ球団は顕著であった。南海なら緑、西武なら水色、ロッテならピンク‥‥筆者がひいきとしている日ハムならオレンジといった具合に。
「ファミスタ」などの野球ゲームにおいても、きちんと“色分け”されていて、実に判りやすかった。なのに、現代はどこも個性が失われているように感じる。みんな似たような色づかいをしたユニフォームばかりだ。
シンプルイズベスト。あんまり色づかいの派手なものは「ダサい」と捉えられる傾向が、今はあるのだろう。たしかに、台湾などの野球後進国ではその傾向が見られ、メジャーでは比較的地味な、目にも優しいものが多い。
とりわけオリックスと埼玉西武と東京ヤクルト。この3球団のホームユニフォームは非常に似通っていて、区別がつきづらい。それでファンから苦情がきたというワケではないんだろうが、ときたま凄いユニフォームが着用することがある。今年のヤクルトのレモンライムみたいな色をした、アレにも面食らったし、オリックスのチェック柄のやつにも度肝を抜かれた。普段が地味すぎるゆえの「反動」だろうか。
一方、これといって「 〇〇といえば」がない日ハムはデザインで他球団とすみ分けをした。左右非対称だったデザインは秀逸で、その初代が今シーズン、復刻を果たした。あのままでいればよかったのにと、つくづく思うのに、節目でもない移転7年目に現在のユニフォームに変更したのは、斎藤佑樹がファイターズに入団したことによって新たなファンを取り囲みたい、球団の「商魂」が要因であったとも訊く。
‥まぁ、それほど見た目は変わってないのだから、別にいいんだけど‥‥いいのだけれど、ハムにはもう「色」はいらなかった?