日本シリーズが広島東洋と北海道日本ハムの対戦に決まったということで、私はこの人の仕事が急増するんじゃないかと思っている....
金石昭人。
広島では黄金期の先発ローテーションの枠に入り、ハムでは長きに渡って守護神としても活躍。両球団のファンにとって、馴染み深い顔だ。また、西崎幸広のときによく取り上げられた「入団から3年連続15勝以上」の達成者、金田留広氏(東映ーロッテー広島)の甥としても有名である。
身長195センチは、あの大谷翔平よりもデカい。ハム時代をみるかぎり、球速はさほどなかったが、最大の武器「フォーク」とのコンビネーション。生まれ持った「角度」を活かす投球に、打者は手を焼いていた。当時、絶頂だった横浜・佐々木主浩を捩った「ハムの大魔神」は、まったく浸透しなかったが。
今年は大谷の本格二刀流解禁で大きな話題を集めた。この金石もセ・リーグ時代、バットで魅せたことがある。
史上初、8戦までもつれた1986年の西武との日本シリーズ。カープの3勝2敗1分けで迎えた雌雄を決する7、8戦目の先発に、長冨浩志と金石‥。のちにハム入りするふたりが重要な試合を任されていたのも興味深いが、その前代未聞の8戦目に、金石は東尾修から先制となるアーチをレフトスタンドに架けた。
以前、打撃力にも長けた選手なのかと思って調べてみたら、公式戦での本塁打はわずか1本のみ‥。“出会いがしら”の可能性が極めて高いけれど、その1本を同年に放っていて、トータル50打数10安打の打率2割、5打点と、投手としては、なかなか高い数値を残している。この年に関しては、投打でチームの優勝に貢献した。
近年はハム戦のテレビ解説にも頻繁に登場していて、ソフトな語り口と裏腹な辛口コメントを、私もよく耳にしている。現役時代の成績はカープで40勝2セーブ、ハムでは32勝76セーブと、ほぼ互角。ただし、ハムでは優勝経験がなく、戦力外の憂き目にもあった。「思い出」の差で、金石が捧げる愛情‥‥選手権で肩を持つのは、僅差で広島の方か。