センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

愛の菓子パン

スペシャル】

1 特別なさま。特殊なさま。2 特別に提供するさま。また、そのもの。デジタル大辞泉

 

 

スペシャル」という語句は、日ごろ私たちもよく目にする。スペシャル番組とかスペシャル企画とか。だから、言わんとしていることは解るのだが、あの「スペシャル」だけは、いったい何が「スペシャル」であるのか‥‥私には解らなかった。ヤマザキ製パンが世に送りだす、

 

スペシャルサンド

 

 

たいそうな商品名である。

筆者が子供の頃からスーパーなどで見かけたから、かなりのロングセラー商品。ワンコインで購入できる安価も、当時のまま。しかし、安価なだけなら、他にいくらでもある。これだけ長きにわたって人類に愛されてきた菓子パンも、なかなか稀有だ。スペシャルサンドが「スペシャル」である所以とはーー

 

 

ヤマザキ スペシャルサンド×3個

 

頬張って、いきなり開始される、ミルククリームとあんずジャムの絶妙ハーモニー。若干の酸味。‥あの甘酸っぱさは、青春時代に味わった恋の味にも似ている。

パンの、ちょうど中央箇所。誇らしげにトッピングされた、赤いゼリー状の物体。メインディッシュのつもりだろうか。おかげでゼリーに早くたどり着きたくて、仕方なくなってしまう。かわいいあなたに、今すぐ会いたかった恋の道のり‥‥。このときが一番楽しい時間であるのも、また事実だ。

 

愛しのゼリーをじっくりと噛みしめると、そこから再び「安定期」に入る。ゼリーの余韻を口の中に残しながら、その甘ったるさにだんだんと飽きがきても、もう君を手放すことはできなくなる‥‥。

恋が愛に変わった瞬間だ。ゼリーと結ばれたあとは、あたかも夫婦の結婚生活を表しているかのよう。縦長のスティック状であるため、先細りしていく様に不安や寂しさを募らせながらも、前を向き、最期まで同じを時を刻んでゆく。

 

 

ゼリーの存在が「スペシャル」な要因であるのかとも、一時期は考えていたが、それは浅はかだった。スペシャルサンドは、まるで恋愛の縮図。だから、ヒトは何か懐かしい味を覚えたり、また会いに行きたくなったりする。これが筆者の結論だった。

 

スペシャルサンドを、きょうも飽きずに食すのである。