センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

【巨人軍「闇」の深層】 西崎伸彦

村田透という投手が、新たにファイターズに加わった。

 

 

栄光の巨人軍にドラフト1位で指名され、その経歴から「上原二世」と称された右腕‥。1試合のみの登板に終わったとはいえ、「元メジャー」の肩書き‥。しかし、推定年俸は3500万だ。球団がくだした「額」をみても、あまり過度な期待は禁物だろう。

 

村田に加え、今オフには大田泰示公文克彦‥。さらには矢野謙次大累進市川友也といった「元G戦士」がひしめいているファイターズ。このうち数名の選手がつい最近まで、神奈川は川崎の地で“いっぺんに”見られたはずだ。

 

昨年のちょうど今頃に発覚した「野球賭博問題」は、ずいぶんと球界を揺るがしてくれた。失格処分を受けた4選手の他にも、実は、まだいるらしい‥。たしかに寮生活のなかで起こった出来事だから、4選手以外にいてもおかしくはない。

 

西崎信彦(※1)【巨人軍「闇」の深層】によると、疑いの持たれる選手がもう1名。‥ただ、その選手では現在「主力」として活躍中とあったから、大田の線はないだろう。ファイターズファンは安心してほしい。

 

 

巨人軍「闇」の深層 (文春新書)

 

 

この著者は週刊文春の記者。本書で取り上げられている「闇」は【センテンススプリング】を日頃目にしている者なら、馴染みのあるネタばかりだ。

福田聡志に対し、借金の取り立てでやったきたという男のスリリングな話からスタートする、件の賭博事件から始まり‥清原和博の薬物事件‥さらには原辰徳監督(当時)への一億円恐喝事件‥内海哲也阿部慎之助、文春十八番の不倫問題まで‥内容は多岐にわたる。

が、一貫していえるのは、どれも暴力団絡みの事件であるということだ。原監督や内海が徐々に追いつめられていく様が、冷静な筆致からも読み取れる。

 

 こうした数々の問題を抱えているのは、何も巨人軍だけではないはず。しかし、これも人気球団の宿命か、巨人軍ばかりが表沙汰となってしまう。“遊び好き”の清原だって、巨人にさえ行かなければ、あるいはもっと幸せな野球人生を、その後も送れたかも知れない。先日も某ミュージャンがクスリ絡みで逮捕されたが、野村貴仁にも『腰抜け』呼ばわりされる彼は、大丈夫だろうか。他人事ながら心配だ。

 

原監督一億円恐喝事件というのは、今ではすっかり風化されてしまったけれど、発覚当時は一大スキャンダルとして取り扱われた。‥それにしても30年以上も前の情事を、存在するのかどうかも判らない相手の女性が書き遺したとされる日記をネタにゆすられた監督も、相当気の毒である。同時にあれほどまでの大金を要求してきた“その筋の者”の恐ろしさを、まざまざと思い知らされた。

 

 

 だいぶ前の出来事かと思ったら、まだ二年前だったのか‥。阿部慎之助の不倫報道。そのとき噂になっていた女性がなかなかのトラブルメーカーだったようで、文春でも叩かれていた。個人的に、筆者も好みなタイプなので、阿部の気持ちが判らないでもない。若い女の躰に溺れたくなるときだって、たまにはあるだろう。‥本書では何か、思わせぶりな“締め方”をしていたが、あれからカノジョとはどうなったのか。少し、気になった。

 

不倫といえば、高橋現監督のゴシップも以前の文春に掲載されていた。そこに現在は北海道にいる、トレード前の矢野謙次の姿もあり、妙な憶測を呼んだものだけれど、まったく‥「文春砲」は侮れない。今や文春記者はいつどこに潜んでいるか分からず、関係者には脅威極まりないだろう。

球界のタブーとされるような問題にも、堂々斬りこんでいった渾身の一冊。「なぜ巨人軍には不祥事が続くのか?」の問いの答えを、ファンではない私も、垣間見れた気がした。

 

(※1)著者・西崎氏の「崎」は、“大”ではなく“立”の方。文字化け防止のため