センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

小早川の断罪

キッビダン キビキビダン

 

 

水曜日のカンパネラの【桃太郎】。最近あのサビ?部分が絶え間なく脳内をリピートしている。 たまたま「センテンススプリング」でコムアイを紹介する記事を見かけ、試しに歌唱動画を見てみたら、一発で気に入った。

それまでコムアイを知らないでいた自分を恨んだ。容姿、直球ど真ん中。切れ長な目がいかにも好み。そして、声。歌声が超かわいい。その声で、彼女自身は到底見たことも触れたこともないであろう「PCエンジン」や「高橋名人」などと“唄わされている”ところが、なんだか矢鱈に萌えるお兄さん、だ。

 

 


水曜日のカンパネラ 「桃太郎」 FULL CHORUS 2015 03 31

 

 

‥同曲の『犬と猿は仲たがい キジは戦力外』と、リズミカルに唄われる箇所。あそこも気に入っている。鬼ヶ島へ乗り込む面子の中で、たしかに一番役に立ちそうもないのはキジだ。桃太郎に「戦力外通告」をされたとしても、何ら不思議ではない。

しかし、キジを戦力外にするとして、あらたなメンバーを迎え入れる必要がある。代わりはキジより強くて、できれば若い輩がいい‥‥。これを、主にスポーツの分野では「世代交代」などと一見きれいに云われるが、追い出される者にとっては残酷そのものだ。

 

昭和の大横綱千代の富士が 新鋭・貴花田に敗れたことによって引退を決意したと、一部では云われている。大いなる美談であるが、この話が美談となったのは、貴花田横綱にまで上り詰めたから。“部屋”単位ではなく、相撲界全体においての「世代交代」が、のちの貴乃花の活躍によって成立していたのだ。

 

 

千代の富士貴花田」のケースは、きわめて理想的。野球界でも類似なシチュエーションは過去にあった。

1987年の広島ー巨人戦。小早川毅彦に浴びた2本のホームランによって、江川卓が引退を“決断”したというのは、よく訊かれる話。‥たしかに、ここまでは相撲のときのケースと似ている‥。

引退のキッカケにはなったのかもしれないが、江川自身の口から、明確に『小早川に打たれたから』などと、私自身はこれまで一度も耳にしたことがなかった。ニュアンスからすると、別に打たれた相手が小早川でなくとも、彼はあの試合に敗戦したことによって、決断したとも受け取れる。

 

 

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1988カルビープロ野球より

 

 

あるいは“当初”は、江川も小早川に対して特別な想いがあったのだろうか‥。小早川は当時、前年に引退した山本浩二に代わり「ミスター赤ヘル」として台頭し始めていた時期だった。なおかつ、広島と巨人は毎シーズン優勝を争うようなライバルチーム同士。

広島の若きスラッガーが、現役生活晩年に差し掛かっていた江川卓に“引導を渡した”となれば‥それはドラマチックだ。

 

しかし、順調にスターへの階段を昇っていた小早川はその後、思うように数字を残せなかった。翌年以降、ホームラン20本以上打った年はなく、打率3割超えも一度だけ‥‥。並みのバッターであれば合格点を与えられるも、むろん「ミスター赤ヘル」としては物足りないという程度の成績だった。

したがって、声高に『小早川に打たれたから』などとは、江川も言いづらくなってしまったのではないか。また勝手に論じる我々も、並のバッター・小早川が物語の「主役」ではインパクトに欠けてしまう。彼の伸び悩みが、江川卓という大投手の引き際に、いささか暗い影を落とした。

 

 

それから10年後、1997年の巨人ーヤクルト戦。広島を戦力外になった小早川はヤクルトに移籍。江川も見守る前の同年の開幕戦でいきなり3本のアーチをかけた“爆発力”を、もっと早い時期に見たかった。