昨年暮れにNHKで放送されていた【ドラゴンクエスト30th そして新たな伝説へ】が、なかなか良かった。
堀井雄二氏と対談に臨んだ山田孝之‥。なるほど彼はドラクエ好きだったのか。それなら、ドラマで着ていたあの「マントスタイル」も、まったく苦ではなかっただろう。むしろスーパーハイテンションで撮影場所に向かっていたはずだ。
対談のなかで、キラーパンサーの命名の仕方に苦言を呈するファンからの声を紹介していたけれど、私自身はいたって普通だと思うが。「ゲレゲレ」だって、最終提案。いわゆる“落としどころ”だ。たしか、第二候補くらいに挙げられる「プックル」など、飼い猫のような、実に愛らしいネーミングではないか。
‥これよりもはるかに、ドラクエ2の「トンヌラ」を何とかしてほしい。まがりなりにも彼は、サマルトリア城の王子である。
第1作がこの世に出てから、もう30年‥か。おもえば、筆者の半生もドラクエと共に歩んできたといっても過言ではない。くだりの番組でも、製作に携わった各界の一流たちがドラクエに対する熱い想いを語ってくれていたが、終盤に『人生はロールプレイング』そう説いていた堀井氏の“お言葉”に、胸を熱くした。ワールド全開だった自宅?にも感激。あらためて氏をリスペクトしたい。
だが、氏が書いたシナリオに、ひとつ「トラウマ」がある。
突き詰めると、おかしなシーンはたくさん存在するのだろうが、何しろ筆者もまだ幼かったころの体験‥‥。あのインパクトは強烈だった。
それは「ドラゴンクエスト4 導かれし者たち」での一コマ。第一章の主人公、ライアンがとある村の地下牢で出合ったアレクスという人物について。
FC版だと画像が鮮明ではないせいもあるが、見た目はややガラの悪そうな、タンクトップみたいなものを着た、マッチョなオッサンである。そのオッサンが、幼児言葉を使用しているのだ。‥見た目とのギャップも手伝って、かなり不気味。ハッキリいって“ヤバい人”にしか映らない。
ストーリーを進めていくと、彼はモンスターに襲われたときのショックで、子供に戻ってしまったのだと判明するが、本当に凄かったのはここからである。
アレクスには、ちゃっかり奥さんがいた。目撃情報を伝え聞いた彼女が、アレクスのいる牢屋にやってくる。そして夫の記憶を呼び起こそうと、妻が“カラダを張った”行動にでるのだ。
まさかの「パフパフ」。しかも、今作はガチもの。ドラゴンボールのように実際に乳を出したのか‥服の上からやったのかは判らないけれど、我々の目も気にすることもなく、実に堂々と‥‥夫婦愛を確かめ合ったのだ。
画像はスクリーンショット
な、なんなんだ。これは‥‥。「パフパフ」で記憶が戻ったオッサン。
アレクスはさらに怪しいヒトになった。幼少期の自分にはもちろん、独身設定だったライアンにも、さぞ刺激の強い「牢屋の出来事」となったのではないか。今の私には、ちょっとだけ羨ましいが。
しかしながら、こういう遊び心に満ちたシナリオを書くのもまた、堀井氏の魅力でもある。今年発売とされる新作にも、ぜひ期待したい。