センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

ヒトが「キレる」を見たがる理由とは

世紀末に「キレる17歳」が世間を騒がせたことがあった。

 

 

当時のその世代で殺人等の凶悪な事件に手を染めた者、またのちの犯罪者が多くいたことが由来ともされる。

‥しかし、どうなんだろう。キレやすい人間はどこにでも、どの年代にも多くいるし、17歳くらいなら、むしろ仕方ないのではと思う。身体は大人に近づきつつあっても、精神はまだまだ未熟なのだ。煮え切らないオトナたちへの反抗心もあるだろう。未成年だった頃の尾崎豊だって、歌の中でキレまくっている。

 

私から云わせれば、よほど最近の老人たちの方がキレやすい。何に不満があるのか、公共の場でいきなり大声をあげたりする老人‥妙に喧嘩っぱやい老人‥。いかにも見苦しい。当時「キレる世代」であった若者も、現在は“いいお歳”になっていると思うが、あぁはならないで頂きたい。

 

 

ある日、わが子がモンスターになっていた―西鉄バスジャック犯の深層 (ベストセレクト)

「モンスター」と呼ぶオトナが彼をこうさせた

 

 

質が悪いのはキレることを「カッコいい」と、大いなる勘違いをしているタイプ。これは、さすがに若者の方に多いが、昨今イナカの成人式でもよく見受けられる。目ん玉ひんむいて、タコみたいに顔を真っ赤にし、ブサイクで、逆にカッコわるい。当然ながら、当人はそれにまったく気づいていない。

筆者もただの一度だけ、美容師に我を忘れそうになるほど“ブチギレ”した経験を持つが「キレる=カッコ悪い」これに気づいてからは、いかなるシチュエーションに遭遇しても、冷静に対応するよう努めている。

 

 

一方で、“傍観”しているだけの身であれば、その様子を眺めているのが好きという輩も意外と多い。プロ野球の「乱闘」コーナーが大昔から人気を集めているのは、おそらくそんな理由だろうし、別に野球選手ならずとも、今や一般人同士のトラブルの模様が、YouTubeなどの動画サイトでは溢れかえっている。

 

仲裁にもはいらず撮影を続ける行為や、プライバシーの観点から問題視する声もある。しかし「怖いもの見たさ」の誘惑に、ヒトは勝てない。こうしたヒト特有の心理を利用して、興行的に成功を収めた事例もある。思い出すのは、それこそ、あの世紀末‥‥。“キレ系”番組がやたらに多かった。

 

【愛する二人別れる二人】TOKIOの【ガチンコ】など、その代表格だ。前者は相談者の許可なく不倫相手を登場させたり、もう端からキレることを“前提”とした演出。後者は、のちに“台本”どおり素人にキレさせていたことが、明らかになった。

どちらも薄々「ヤラセ」と感づいていても、けっきょくは見てしまう。驚くほど視聴率も高かった。他人がキレる様子を見たい‥‥皆そう心の奥底で欲しているのだろう。キレる、すなわち「怒」という感情は、傍から見ている者には、所詮“エンターテイメント”と化しているのだ。鼻で笑われていることを、当人は露も知らずに、きょうも明日もキレまくる....