2017年のゴールデンウィーク、オリックスバファローズが「阪急ブレーブス」時代のユニフォームを着用している....
復刻とはいうものの、阪急も、ブレーブスの名も‥今そこにはない。前々から感じていたのだけれど、この手のイベントが催されるたび、旧ブレーブス(ブルーウェーブ)ファンや近鉄バファローズのファンは、はたして「歓迎モード」なのだろうか。
球団“合併”という事態を生まれて初めて目の当たりにし、また、どちらのファンでもなかった私に、彼らの心情は正直分かりかねるが、少なくとも、あまり気持ちの良い思いはしていないだろう。‥仮に筆者が近鉄ファンであったなら、おそらく2004年を境に、もう特定の球団を応援をすることはなかったと思うから。
まぁ、それはともかくとして、生まれ変わったパ・リーグは、決して間違った方向には進んでいない。やはり、資金力な豊富な親会社が球団を持っていた方がいいのだ。オフに合併だ身売りだなんので新聞紙上を騒がせているようでは、選手もおちおちと野球だけに集中することができない。
さらに光明だったのが、楽天が東北に本拠地を置いてくれたおかげで、北は北海道から南は九州まで、パ・リーグはまさに「全国展開」の規模。大阪に3球団が集中していた時代も、今は昔である。
話題を阪急ブレーブスに戻そう。
今季ここまでは好調のオリックス。ホームページを覗くと、選手たちが一様に口元あたりに拳をあてたポーズをしている。これは、一体何を意味しているのだろうか。‥私が知らないだけで、たぶん、意味はきちんとあるのだろうが、同じポーズをSMAP時代の中居正広がしていたのを思い出した。もっとも、まったく流行らなかったのだけれど。
で、復刻ユニフォームだが、今回のは筆者が生まれるよりも前のもので、リアルタイムで見たことはない。ただ、阪急がパ・リーグの「絶対王者」だった頃のもので、書籍や画像ではよく目にしていた。だからなのだろう、当該ユニフォームは福本豊や山田久志よりも、山口高志のイメージの方が脳裏にこびりついている。
‥ここから少々マニアックな話になるけれども、私はこれを相手の北海道日本ハム・武田久に、ぜひ着てほしかった。彼が身にまとったら、“まんま山口高志”になりそうで。
実は両投手、身長は1センチちがいで(山口170 武田169)、体重もほぼ一緒(※現役時代の山口)。伝説の快速球投手を、武田でダブらせてみたかったというのは、さすがに無理な注文か。しかしながら、彼らのようにプロの世界で大きいとは呼べない投手が、名リリーバーとして名を馳せ、優勝にも貢献していたのだから恐れいる。
日ハムで長らく正捕手として活躍した、田村藤夫の入団4年目。1981年に1試合(9月27日 西宮)だけ出場しているのだが、このとき“世界の盗塁王”福本を刺していた‥というのは、ファンのあいだで語り草である。途中出場だった田村は、1打席にたって凡退。対戦したのは、同年抑えに固定されていた関口朋幸‥‥。田村の足跡を調べる過程で偶然に知ったのだけれど、現役引退後、39歳の若さで亡くなっていた。
当時のブレーブスを率い、3度の日本一含む5度のリーグ優勝を果たした上田利治が1995年、日本ハムの監督に就任。この知将をもってしても勝てなかった弱小ファイターズも、今は昔なのである。
◇画像:君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手 (講談社+α文庫)