センテンス・オータム

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結婚シミュレートできなかった男の悲恋?「世にも奇妙な物語」最怖トラウマ回 番外編

徹底的に男社会で育ってきた僕は、初めて“交際”らしきしたのも遅く、ハタチを少し過ぎた頃だったと思う。

 

映画デートというものには、たしかに憧れていた。しかし一方でしたたかな計算もあった。映画なら3時間前後は約束される‥。「付き合いたて」のときに陥りがちな、デートで何をすればいいのか?といった初々しき悩みは、大部分で解決するだろう。必然的に、僕は映画デートを彼女に推した。

 

恋人がいなかったこともあり、映画などまったく観てこなかった。それはオトナになった今も変わらないのだけれど、やはり、異性と観に行くのであれば、多少はムードのある作品の方がいいのだろう‥くらいの認識は、さすがに当時の僕にもあった。まして、まだ付き合いたての頃に、一方的に自分の好みを押し付けるのもよくない。さて、どうする‥‥

 

しかし、そうした感情とは裏腹に、僕の心はこのとき、すでに決まっていた。世にも奇妙な物語 映画の特別編】を観たくて仕方なかったのだ。

‥だがはたして、コレを彼女に進言いいものなのかどうか。タイタニックのような要素は、おそらく微塵もない。なにせ「奇妙」である‥。ムードもクソもない。『初デートでなにそのセレクト~?』などと引かれかねないし、決定的にセンスのなさを彼女に露呈してしまうことになるだろう。

 

そこで観に行く映画の選定する過程のなかで、あくまで“さり気なく”といった態で、上映中だった【世にも奇妙】の話を振ってみた。内心、僕は「奇妙」しか頭になかったのだが。

意外なことに彼女が乗ってきた。『それにしよう♪』と。

年端もいかない娘が、なんと「奇妙」に食いついてきたのである。僕の不安は杞憂に終わった。

 

 

世にも奇妙な物語 映画の特別編〈特別版〉 [DVD]

 

 

人生初・映画デートが、世にも奇妙な物語ーー

 

今おもうと、なんだかいかにも自分らしい。意気揚揚と、当時のサティの中に併設された映画館へ向かう。慣れない僕は途中、映画館の暗がりで段差につまずいてしまい、着席中の中学生くらいの女の子に、クスッと失笑された。

 

4話のオムニバス。序章では山本耕史が、案内人のタモリと絡んでいた。堀北真希がメジャーになる、まだずっと前の頃。

1話目が【雪山】という、絵に描いたようなホラーテイスト。テレビで散々「奇妙」をみてきたが、スクリーンだと、さすがに音響がけた違い。迫力があった。恐怖のあまりか、彼女が僕の手をギュッと握ってきた。‥童貞には嬉しい“サプライス”だった。上々な出だし。

 

2話目が【携帯忠臣蔵】。中井貴一のコミカルな演技に、映画館のアチコチから笑い声が起こる。中盤、セックスの前の段階で「勃たない!」といった描写があり、僕はどう反応していいか判らなかった。さっきの彼女の手触りで、ズボンの下はギンギンなのよ‥‥と、今ならネタにして言えただろうが。

 

3話目、「サスペンス」と、たしか銘打たれていた【チェス】に続き、オオトリがカップルや家族で来る人たちを想定して作られたものなのであろう【結婚シミュレーター】。稲森いずみ主演。

結婚前に将来おくる結婚生活をシミュレートできるマシン。診断結果があまり芳しくなく、婚約を解消しかけたところで、実はこれも「夢オチ」だったという、そんな話。まぁ最後はハッピーエンドな形で、安堵したお客さんも大勢いらしたことだろう。

 

稲盛嬢と共演の柏原崇が手を繋いで並木通りを歩くラストシーンに、僕は、彼女との未来に想いを馳せていた。その後、僕らはめでたく結婚し‥と相成れば、それこそハッピーエンドなのだが、現実はなかなかそうもいなかい。「奇妙」な縁で結ばれることはできなかった彼女は今、どこでどうしているのだろう。

 

‥いえるのは、4種の味を愉しめた「世にも奇妙」は、結果としてデートに成功をもたらしてくれた?

 

 

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