読書に集中するため、恒例のマックへ夜な夜な足を運んだ。
客もまばらな店内。注文を済ませ、席について珈琲をすすっていると、なにやら店員たちのヒソヒソ声がこちらにまで届いてくる....
♂『20代後半ってとこじゃね?』
♀『いや、30はいってるっしょ!?』
♂『それだったら詐欺!』
‥タイミング的に、たぶん、僕のことにまちがいない。
普段から“年齢不詳”だと、よく言われるからだ。僕なら、きっと若いマック店員たちをも惑わす。確信があった。
しかしながら、このようなタイプはわりと犯罪者に多いような気もする。『30代から40代、男性』といった目撃証言が、蓋をあけてみたら意外と若いヤツだったり‥。自分はその逆バージョンで、アラサーどころかもうアラフォーなんだけどなぁ。
まったく聴こえていないフリをして、“前座”の週刊文春をパラパラと眺めていたら、とある記事に、僕の目は釘付けとなったーー
ヒシヒシと老いを感じる。体力の部分では、まださほど感じることはないが、風邪の治りが遅くなったり、食欲が減退したり、オ〇ニーのペースが1日おきになったり(?)と目には見えない部分で明らかにソレは感じる。
気づけば周りは平成生まればかり。‥考えてみたら今が平成29年だから、バリバリと第一線で働いているのは、もう「平成人」ばかりでいてもおかしくないのだ。じきに「昭和人」の出る幕はなくなってしまう。
“老い”は敵だ。そのうち平成人の美女にも相手にされなくなり、昭和人は淘汰され‥‥と思いきや、意外にも、平成人の多くが今、熱を上げているのは昭和人。一向に人気が衰えぬ嵐のメンバーも皆そうだし「抱かれたい男」ナンバーワンとも言われる斎藤工だって、四捨五入したら40歳。昭和生まれの男たちだって、まだまだイケる‥‥。
しかし、彼らは芸能人だ。そんなヒトと比べてもという思いもあるだろうが、ここで冒頭のシーンに戻る。浅草で斎藤工と並び立っていた高橋一生、36歳。‥彼も街のギャルたちを、たいそう熱狂させているのだとか?
見るからに“イイ男”の斎藤工は別として、特段、高橋クンはそういったタイプのイケメンではない、ように感じる。昨年放送された「世にも奇妙な物語」では、一応主演でありながらも、冴えなくてモテないサラリーマンの男の役を演じていたし、その半年前に放送された同ドラマ内【箱】という作品においては、出演総時間は正味2、3分で、まったく「端役」もいいところであった。こんな短期間のうちに、一体、彼に何が起きたというのか。
この1年のうちに、出演作品に恵まれたことも、もちろんあるだろう。ただ、それだけでは「大スター」にはなれない。なにか付加要素があったはずだ。
‥思うに、カレの“普通っぽさ”ではないか。女子目線なら斎藤工はムリだけど、高橋クンなら手が届きそうな感じがするし、男性目線なら、カレになら近づけそうな気もする‥気がしてきてしまう。いわゆる、THE身近。スターっぽくないところが、むしろ良いのかもしれない。事実、『高橋クンなら僕も』と、なんだか奇妙に勇気づけられた。若い連中には負けられない。昭和男はまだまだ現役ーー
くだんの店員には今度、胸を張ってこう言おう。
私、昭和生まれのアラフォーですが、何か?