センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

File.2【眠れる森】

暮れも押し詰まる季節に起きた、一家の惨劇.....

 

 

【世田谷一家殺害事件】から17年経った現在も、未解決である。あれだけ多くの遺留品を残しながら、犯人検挙に至っていないのはなぜなのか。犯行現場に長時間潜んでいたとみられ、カップのアイスクリームを手づかみで食べただの、トイレで大きい方の用を足しただの、入ってくる情報はどれも奇怪なものばかり‥。

その後は被害者宅の近くに「謎の地蔵」が置かれていた。こちらも誰が、どこから何のために持ってきたのか判然としていない。当事件は、まさに20世紀の最後に起きた、最大のミステリーである。

 

 

とある書籍に目を通していたら、興味深い記述があった。あの事件が【眠れる森A Sleeping Forest 】の状況に似ていたという。1998年にフジテレビで放送されていた中山美穂木村拓哉主演の連続ドラマ。

‥また別のドラマでキムタクが着ていたトレーナーと同型の物を、世田谷の犯人が着用していたというのは、前にも訊いたことがあったけれど、シチュエーションまで似ていたとは、個人的に初耳だった。

彼が出演するドラマは大抵観てきたが、あのドラマの頃は、ちょうど筆者がアルバイトに明け暮れていたときで“エアポケット”的な作品。世田谷事件とリンクするドラマとは、一体どんな内容なのか‥‥たいそう気になった私は、リアルタイムの放送から約20年の時を超えて【眠れる森】を視聴してみることにした。

 

 

SMAP 木村拓哉 オロナミンC 非売品 ポスター

Amazon.jpより

 

 

“その瞬間”を捉えたと思しき、何やら冒頭からショッキングな回想シーン。物語はたしかに「一家惨殺」から幕を開けていた。

リアルとドラマが決定的に違っていたのは、犠牲となった一家の中に“生存者”がいた点である。この生き残りの少女が大人になり、忌まわしい「過去の記憶」と向き合っていくといったストーリー。

 

‥筆者は事前にひょんなことからネットで真犯人を知ってしまい、失敗した。したがって、真犯人とされる男の挙動を逐一チェックしていたのが、あれでは解らないだろう。男は最終盤で“豹変”するのだけれど、そこに至るまで、凶悪犯な匂いを一切感じさせない。お初で初回から彼を疑うことのできた視聴者は、ミステリー作家になれる。リアル事件の解決にも、ぜひ一役買ってほしい。

 

序盤、イチバン危険な香りを漂わせていたのは、ロンゲ時代の木村拓哉

‥私はどちらかというと、ラブストーリーやコメディの中で描かれる彼しか、これまでは拝んでこなかった。「ミステリアスなキムタク」というのも、またいい。なんとも言えない男の色気がある。

当然のごとく、彼は犯人などではなく(生き残った)彼女の味方であり、得体の知れぬ真犯人との距離を縮めていく。彼は最初から犯人が誰かを知っていて、15年後、彼女の前に姿を現したのかと思っていたら、そうではなかった。彼らの“関係”はもっと複雑怪奇であったことを、後に知る。

 

ユースケ・サンタマリア本上まなみ仲村トオル‥ら、脇を固める俳優陣もなかなかに良い味を出していた。当時、高視聴率をたたき出してようで、今みても確かに引き込まれる。

この美しい映像作品と出合う“きっかけ”となった事件は哀しく、もちろんドラマのようにきれいに解決することはないだろう。おそらく「真実」を知っているのは、犯人だけ。しかもその犯人が現在も生きているのかどうかわからない。深い森に晴れない靄が、かかり続けている。

 

 

《参考》眠れる森 DVD-BOX

  

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