急転直下のトレード劇.......
こう来たか‥。岡大海のトレードは、予想できなかった。本件につき、色々と語りたいことがあるのだけど、まずは現実的な話から。
どうなのだろう、まずは客観的にみてロッテファンのほうが喜んでいるんじゃないの?‥たしかにドラフト1位の鳴り物入りで入団した藤岡に、ファンも思うところはあるだろうが、昨シーズンそして今年と、まったく結果を残せていなかった。見れば二軍でも勝てていないではないか。
ただし、ロッテにとって左腕投手は稀少。たしか、先日の試合を観ていたときも、ベンチに左は松永ひとりしか入っていなかった。‥昨今使い物になっていなかったとはいえ、中継ぎとして一定の成績を収めていた経験を持つ藤岡の放出は、正しい選択だったといえるのか。
それをいえば岡だってこの2シーズン、活躍はできなかった。とはいえ、大田泰示の故障により即1番・ライトを任されていたほどの男‥。大田の復帰はまだ時間がかかる模様だし、ファイターズの外野は本当に大丈夫なのか?不安は募る。
上記の観点からすると、まぁある意味、互いに“釣り合いのとれた”トレードではある。ことロッテは岡の獲得で、当面は荻野貴司を穴を埋めることができ、敵として、当然あの「2016年の輝き」だって見ているはずだから、預かる首脳陣も、見守るファンも彼への期待感は相当高まっているはずだ。
懸念材料は、彼はケガが多い。この辺りも極めて「ロッテ的」な選手であるといえる。最近はほとんど打てていなかったが、ひとたび試合に出れば岡にはアシがある。わずかな出場で、今季も5度盗塁を試みて失敗は0‥。ロッテサイドも、このアシのほうを買った可能性が高い。
意外とアツい男なんです
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‥それにしても、なぜ彼は打てなくなってしまったのだろう。技術的な部分は、筆者には解らない。今季唯一の「見せ場」となったファームでの西武戦(5/3)。最終回に4点差をひっくり返す劇的な試合でヒーローになったのが、岡だった。
ライトの頭を越す、逆方向への鋭い弾道‥。2016年には幾度もみせてくれた、あの打撃が鳴りを潜めてしまった要因は、一体何であったのか。‥今おもえば、大田離脱後のこの2週間近く、岡は“試されていた”のかもしれない。このチャンスをしっかりモノにしていたら、ファイターズとて彼をトレードには出さなかっただろう。しかし‥‥
これはイチFファンとして‥。非常に残念だ。札幌ドームで、もう「ヒロミ」コールが聴けない。場内に轟く『ヒロミー!』 のアレが、私はすごく好きだった。同じ名前のプロ野球選手は過去にも何名かいたけれど、郷ひろみよろしく『ヒロミー!』で声援を浴びていたのは、彼くらい。岡の登場に、札幌ドームはやたら女性ファンが多いのもあって、なにか、コンサート会場かのような様相を呈していた。
そして、あの【エースを狙え!】の登場曲。自己プロデュース力に長けている。オカ・ヒロミという名前を、入団時から存分に自分の「武器」とした。“ネタ”としても、本当に最高な選手だった‥。
そんなヒロミを、もう拝めない。他球団に渡った選手を応援はしない、というのはここでも再三書いているが、今回のケースは別。同じリーグだから「対戦」する機会はこれから何度も訪れるだろう。その際はFファンも万雷の『ヒロミー!』コールで、迎えてあげてほしい。アレを聴かせてもらえれば、私はロッテにいった岡も応援することができる。
最後に、代わりに来る藤岡投手について。
ドラフトで騒がれていたし、けっこう昔から彼のことは知っていた。ルーキー時代のキャンプに藤岡の球筋を観た、ある球界のOBが驚愕していたのも憶えている。まるで江夏豊のようだ、と絶賛していた。
東洋大の先輩、大場翔太に倣い?入団当初に一瞬の輝きをみせるも、その後は泣かず飛ばずだった藤岡‥。2011年のドラフトでは菅野智之を逃してしまったけれど、ともに【BIG3】と称された藤岡貴裕がファイターズにやってくるという、数奇な巡り合わせは、なかなか面白い。栗山監督の高い「再生能力」に、期待を寄せてみたい。