センテンス・オータム

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盆休み前SP1【読書記録】ー私が見た21の死刑判決ー

現行日本の「死刑制度」は恐怖以外の何物でもない......

 

 

なにせ、いつ“お迎え”に来るのか分からない。執行は刑当日に言い渡されるからだ。こうしたギリギリな心理状態が、ヒトによっては何十年も続く‥。考えてみただけで恐ろしい。

だから、稀に『死刑になっても構わない』とか、もっと極端なケースでは過去に『死刑になるために罪を犯した』そう言い放ったヤツもいたりして、私はまた別の意味で彼らは“強者”だと本気で思った。死刑も恐れぬ強い精神力を持ち合わせていたなら、死刑囚になる前にどんな難局だって乗り越えられたはずではないのかと、常人は感じてしまうが、そこはやはり、元々が「正常」ではない彼らであったのだろう。

死刑の賛否は長年言われ続けている。しかし、筆者のように死刑を本当に恐ろしいと考えている人のほうが大多数のはずで、凶悪犯罪の抑止に一役買っているのは、おそらくまちがいない。

 

今月、オウム真理教の元幹部13人の刑が執行された。突然“お迎え”が来た最初の7名はまだしも、死期が目の前に近づいてきたことを確実に理解した、あとの6名‥。今回のケースは、やや特殊な形ではあったけれど、たとえ2週間近くの期間であっても、自分ならもう精神が破綻していたかもしれない。彼らは“その日”まで一体何を考え、どう過ごしてきたのだろう。

 

岡崎一明(逮捕時の姓)と交流があり、彼の意志や今の想いを、ブログという形で世に発信していた者の話によると、ずいぶんと落ち着いた様子ではあった模様。

 

kazakimiyamae.blogspot.com

 

冒頭の『それにしても、この猛暑は異常を遥かに越えてますよ。そちらでも大変かと存じます』.......

 

これは文章だけれど、なにか“いかにも”といった感じで、彼の「人となり」が伝わってくる。今年に入って、とある場所から音声データも流出していたし、解る方にはこのニュアンス、言わんとすることが伝わるのではないか。

筆者は、もちろん面識はないが、以前目を通していた書籍、青沼陽一郎【私が見た21の死刑判決】が、彼について詳しかった。

 

 

私が見た21の死刑判決 (文春新書)

 

かつては営業もしていたらしく、話術に長け、相手のご機嫌取りも上手い‥。あの麻原を脅迫までし、事件後も警察から徹底マークをされながらも、自身は学習塾の経営に乗り出すという、明らかに他の幹部と異なる性質を持っていた。

死刑回避のために行った徹底した法廷戦術。無期懲役判決が下された地下鉄サリンの実行犯と、結果、死刑となってしまった岡崎‥。彼らの生死をわけた境界線は、どこにあったのか? 本書でその見解が語られている。岡崎以外では土谷、豊田、横山といったオウム幹部にも、比較的明るい。

 

 

実際に著者が手紙のやり取り、面会までした「池袋通り魔」の犯人(現死刑囚)。ゆえに、けっこうなページ数を割いているが、これはさすがにヤバい。少々“分析する”相手を間違えたのではないか。犯人から送られてくる手紙の内容は支離滅裂で、読んでいるこちらのほうまで頭がおかしくなってきそう。誰の為にもならない。それなら「秀才」の異名をとっていた、オウム高学歴幹部たちの“生の声”をもっと聴いてみたかった気が、しないでもない。

 

 

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