感動リッチ‥‥‥?
って、ビールのCMであるよね。そうそう、あの玉木宏のやつ。
なんか好きでさ。「感動」+「リッチ」この無理矢理感?‥けど、意味は伝わってくるよね。そして、響きがいいこと。俺なんか日常的に使用したいもん。ミーハーまる出しで。ま、いうほど流行ってはいなさそうですが(笑)、今回はちょっと、筆者ならではの「感動リッチ」体験を。
鎌スタ最終ゲーム。当地では現役最後の登板となる、石井裕也の登板にスタジアムは大いに盛り上がった。このタイミングを待って、すかさずヤクルトベンチが動く。代打・鵜久森淳志の登場だ。
言わずと知れたハム時代は「ミカンの大器」のまま終わった、愛媛県発の大砲。打席に入る前、かすかに笑みを浮かべた鵜久森は相変わらず男前である。ファイターズファンのために、ヤクルトサイドの粋な演出。誠にありがたい。
初めから打者一人と決まっていたようで、石井のストレートは全盛時代と変わらない速さ。その彼の快速球にフルスイングで応える鵜久森。まさかのガチ対決。
引退をする投手へ半ば“お約束”となっている「最後は三振で終わる」なんて空気感は微塵もない。それこそスタンドに放り込んでやろうかぐらいの勢いで、カウントが追い込まれたあとも、粘りさえみせる。石井も石井で一切の小細工なし。ただひたすらキャッチャーミットをめがけて、渾身のストレートを投げ込んでいく。秋空の鎌ヶ谷を舞台に繰り広げられた、男と男の真剣勝負ーー
そこで打てなかったところがまた、鵜久森が“ウグ”のままであり続ける所以なのかもしれないが(がんばれよ)、スタンドに集まった両軍のファンはもう大満足である。石井裕也の雄姿はもちろん、幾多のアーチを同球場に駆けた鵜久森淳志を彼の対戦相手に選んでくれたこと‥。一軍戦では決して叶えられない、まさしく「感動リッチ」だった。
◇感動ドラフト?
先日部屋の整理をしていたらこんなモノがでてきた......
東北高校時代のダルビッシュ。2004年のドラフト1位(1巡目)でファイターズに入団。巻頭ページはダルビッシュに割き、ページをめくると鵜久森の姿も‥。そう、同年春夏の甲子園で大活躍。彼も、注目選手のひとりであった。
しかし、鵜久森は下から数えたほうが早いドラフト8位。意外すぎるほどプロ側の低評価だったが、こうして14年後の両者をみると、それも頷けてしまう。片やメジャー移籍、片や戦力外という形で、とうの昔にチームを去っている。
昨年も1位に清宮、7位に現役の東大生・宮台康平の指名と、胸躍るドラフトとなった。2004年のドラフトがこれに近い。甲子園を湧かせた球児を、上位と下位で。他をみると4位にマイケル中村がいる。2006年の日本一に貢献したエースとクローザーを同時に獲得できたのだから、もうこれだけで「100点満点」ドラフトといっていい。
入団時、高卒トリオとしてダルビッシュとメディアに収まる機会も多かった鵜久森と市川卓(菰野高)が伸び悩んだのは残念。市川など特に素質はあっただけに。
3位の橋本義隆(ホンダ)、6位の菊池和正(上武大)も単年ながら一軍で活躍した時期もある。7位の中村渉(三菱製紙八戸クラブ)は、この同期組の中で唯一、一軍戦での出場がなかった。↑の雑誌でも彼の特集が組まれているけれど、実家が畳屋だったことで有名。あれから家業の方は継いだのだろうか。
そして鵜久森よりも下の順位、9位の工藤隆人(JR東日本)もわずか4年の在籍ながら、一時はクリーンナップを務めた、強打の持ち主。消化試合に1試合だけ4番を打ったこともある。同期のマイケルともに2009年、巨人に移籍。打てる選手だっただけに地団駄を踏んだものだ。
2004ドラフト《個人評価》特A