来シーズンをもって田中賢介が‥‥引退?
驚いたね。突如のこのご報告には。我が道を行く自分大好きSHINJOでも“宣言”したのはシーズン開幕後だったのに‥‥。今回の田中賢は、あたかも日本版・ジーターのごとく。
でも、彼には感謝してるよ。2014年のオフはチームの大黒柱・稲葉篤紀が現役引退。主力の小谷野と大引も立て続けに他球団へ移籍し『これから日本ハムはどうなっちまうんだろう』 暗雲立ち込めたそんなときに、アメリカから還ってきてくれた。若手選手主体のなか、優勝の味を知るベテラン選手の復帰‥‥どんなに有難かったことか。
いや、田中賢のプロ野球人生を回顧するのはまだ早い。時期が来たらまた改めて.......
ということで、前日の続きを始めてみたい。「レジェンドOB」企画第二弾。いよいよトップ5‥‥今風にいうと【神5】の発表だ。6位まで、若干マニア色が濃くなってしまった感は否めない。『おたくのところはそんな程度か』などと、ひそかに嘲笑っていたハムファン以外の野球ファンも、一部にはいたかもしれない。
しかし、ここから挙げる選手は十分、“他所でも”通用する。‥とりわけ道産子のファイターズファンが彼らの名を口にすれば、野球通にも一目置かれること間違いなしの請け合いだ。それでは早速、5位からいってみよう。
5位 木田勇
ある意味、”らしい”選手だ。活躍したのは1980年のワンシーズンのみ。だが、そのインパクトがズバ抜けている。最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振。タイトルを総なめにし、さらには年間MVP、新人王まで受賞した。まるで『盆と正月が一緒に来た』ようなシーズンを、プロ一年目でやってのけた。
以外にも、筆者はこの方の逸話を数多く知っているが、ひとつだけ。年末の紅白歌合戦の審査員を務めたハム関係者(監督・選手)は、木田から2016年の大谷翔平まで36年間現れなかった。この手の“一瞬の煌めき”をみせたという点においては、同僚だった故・工藤幹夫氏も同じで迷ったけれども、木田勇の「神話性」にはかなわなかった。
4位 土橋正幸
かつてナイナイの岡村がラジオ番組で『土橋は野球がうまかったのか?』そう相方に尋ねていたらしい。おそらく筆者よりは“ドバシ知識”を持ち合わせていないであろう、矢部に代わってお応えする。
『土橋は野球がうまい』と――
テスト入団ながら1961年に30勝。年間20勝以上が5シーズン、通算の勝ち星は162勝である。‥にもかかわらず、主要タイトルと縁がなかった悲運。前述の木田と比べると、あまりに皮肉だ。
しかし、どっしりとした体型から放たれる重い直球に、糸を針の穴に通すほどの制球力を持ちあわせ、通算無四球試合はNPB歴代4位の46。むろん、球団ではトップの数字。元監督のO島を筆頭に、日本ハムの監督も務めた土橋氏をよく思わないOBも多いと訊くが、Fにおける「貢献度」は、まちがいなくあなた方より上なのだ。
3位 尾崎行雄
有名政治家とまったく同姓同名で、筆者も幼少のころ戸惑ったプチエピソード。こちらは東映フライヤーズで、一時代を築いた投手。この時代ともなると、残されたフィルムも少なく、実際の投球映像あるいは画像を観たのは、数えるほどしかない。対戦した打者やチームメイトの証言によれば.......
尾崎こそイチバン速かった
‥‥らしい。いったいどれほどのスピードを誇っていたのか気になるところ。当時の資料では変化球なしのオール・ストレートで、並み居る打者を牛耳っていたというのだから、相当なものだろう。高校を中退してプロ入り。即20勝をあげて新人王。20勝以上が4シーズンで通算107勝なのだから「パワー型」(力投派)にありがちな、短命投手というほどでもなかった。願わくば、正確な速さを知りたい。
2位 大杉勝男
こちらも東映時代の主砲で、ともに主軸を担っていた張本勲と、実は王貞治よりも前に「OH砲」を形成していた。「H」は首位打者常連の安打製造機。一方の「O」の方は、3年も続けて40発以上をクリアした大砲。理想的なクリーンアップ‥‥であったはずなのだが。とりわけ1970年、このシーズンの両者の成績をみてほしい。
張本:打率.383(球団記録)本塁打34 打点100
大杉:打率.339 本塁打44 打点129(球団記録)
ともに、凄まじい“打ちっぷり”だ。2001年の近鉄ローズ・中村コンビ並み‥‥いや、それ以上といっても過言ではない。しかし、チーム成績は、なんと借金を16もかかえて5位に低迷。‥‥在籍していた東映末期は投手力が貧弱で、この最強クラスの3、4番をもってしても、優勝には一度も届かなかった。
1位 小笠原道大
正直、かなり迷った。ただ、最近ファイターズ時代の「ガッツ」を見直してきている‥‥そんな背景が、今の私にはあった。
いくら「飛ぶボール」の時代だったとはいえ、全12球場のなかでも1、2位を争う、あの広い札幌ドームを本拠地にして最高37アーチも架けた、まぎれもない事実(2005年)。現主砲・中田翔でも2018年終了時現在、シーズン最高は30本だ。
身長180センチにも満たない体躯で、どこまでも飛ばす。その源は、観ている方がおもわず心配になってしまうくらいの強烈な「フルスイング」だ。我々は柳田悠岐よりもはるか以前に、空振りでも観衆を魅了することのできるフルスイングを、目の当たりにしてきていた。
飛ばすだけでなく、打つ確率も高い。2002年には球団では張本勲以来の首位打者に輝き、翌年には.360の高打率で2年連続。同年は31本塁打、100打点を記録した。喩えるならば松井秀喜とイチローの良いところを足したような隙のない、ファイターズ時代の小笠原。二大会に渡ってWBC世界一にも貢献した、球界の至宝である。
《まとめ》
書いてみて気づいたのは、上位はいささか東映色が濃くなってしまった点。のちに「レジェンド」になるであろうプレーヤーが北海道移転後に多く、今後に楽しみだという点(大谷やダルビッシュが現役ではなかったら間違いなくココに加わっていた)。
それと鬼籍に入った方も多く、今回も土橋、尾崎、大杉の「元東映戦士」がそう。‥せめて、張さんには少しでも長生きしてもらいたい。
ブロガー方が当エントリーを真似してもらうのはぜんぜん構わないし、筆者自身「F」版以外も見てみたい。ただし、その際はここのリンクを貼っておくこと(笑)。文中敬称略。