センテンス・オータム

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【STOP!暴走老人】エースの映画日誌ミニ 《2019年3月6日版》

近未来の日本が怖い。

 

全国各地にいるとされる「暴走老人」がこれ以上、増殖していくのかと思うと、巨大地震と同等の恐怖感をいだいてしまう。‥どうして今日の老人方はいつも不機嫌で、こうもキレやすいのか。

日本で最初に「暴走老人!」と言った(広めた)のは、作家の藤原智美。氏に追随するかのように、今、本屋では困った老人たちを描いた書籍で溢れかえっている。

 

老人の取扱説明書‥‥困った老人のトリセツ‥‥困った老人と上手につきあう方法‥‥

 

こうした本のタイトルからも、いかに周囲の人間が高齢者の“扱い”に苦心しているかが窺える。下の東洋経済の記事によれば、その多くは「孤独」が原因なのだという。

 

 

toyokeizai.net

 

孤独、不機嫌。だから煙たがられるの悪循環。‥耐えがたい孤独。経済的には裕福でありながら、万引きを繰り返してしまうのも、おそらくその表れなのだろう。そんな彼ら、不機嫌な老人と向き合う方法、術を知るために‥。超高齢化社会に突き進む日本にあって、留めておくべき作品――

 

 

グラン・トリノ (字幕版)

 

 

妻に先立たれ、息子たちとも疎遠な元軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)は、自動車工の仕事を引退して以来単調な生活を送っていた。そんなある日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになったことをきっかけに、アジア系移民の少年タオ(ビー・ヴァン)と知り合う。やがて二人の間に芽生えた友情は、それぞれの人生を大きく変えていく シネマトゥデイより

 

グラン・トリノ。2009年公開のアメリカ映画。クリント・イーストウッド主演。

長年連れ添ってきた妻の葬儀のシーンから始まる。ご多分に漏れず、イーストウッド演じるウォルトも、だいぶ“不機嫌”だ。神父にも悪態をつき、近寄りがたいオーラを常に充満させていた。

別の地に住む息子夫婦からも見放され、彼はいよいよ本当の孤独に‥‥ならなかったのは、隣近所に住むモン族一家との交流があったから。ふとしたキッカケで生まれた、人種の異なるこの交流によって、当初アジア人を“見下していた”ウォルトが、徐々に平穏な心を取り戻していくという、そんな物語。

 

とりわけ自閉気味だったタオ少年に仕事を与えたり、得意げに『男たるものは』を説く様は、まぁ老人特有といえばそうだが、ウォルトにとっては妻亡きあと、新たな“生き甲斐”となっていたようだ。散髪屋での掛け合いも微笑ましい。そのタオへの想いは、ラストシーンでも意外な形で明かされる。

 

 

タイトルの「グラン・トリノ」とは車種名で、劇中ではウォルトが製造に携わっていたことになっている。見た目のかっこいい車は、みんなの憧れの的。それを造った自分を特別誇りに感じていて、日本製の車に乗る息子を小馬鹿にする‥‥。

こうした、いささか自意識過剰の高齢者、皆さまも身に覚えがあるのではないか。‥当作品で得れた、私たちにも通ずること。

老人をなるべく孤独にはさせない。万が一、その“危険”が訪れそうになったら、むかし乗っていた車の話でもさせておけば、案外、大抵の「暴走」は止められるのかもしれない。

  

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