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【最強の「相棒」は娘?ニコラス・ケイジの超傑作】エースの映画日誌ミニ 《2019年3月14日版》

詐欺グループの実行犯が逮捕されたらしい――

 

それを筆者は前夜の「報道ステーション」トップニュースで知ったのであるが、直前まで放映されていた刑事ドラマ【相棒17】が、ちょうど大規模な詐欺グループと対峙していたというのも皮肉な話だ。

現実と大きく異なっていた部分‥。それは“リクルート”した「受け子」に金を取りに行かせるという、ドラマの中で描かれていたやり方で、少し前の手口になるのだとか。いまは、金融機関や役所の人間を装う、リスクの大きい「受け子」の段階を省略して、強引にカネを奪い取りに行く。そのための「アポ電」。

犯人視点で手っ取り早いのは確かかもだが、詐欺を生業とする人間特有の知性のカケラもない。ただただ野蛮。罪名は強盗殺人となり、捕まった犯人は相応の厳罰が予想される。

 

 

そういえば、あの作品も冒頭に電話をかけているシーンがあった。それから狙いを定めた家に、ふたりで赴く。「設定上」は上司と部下の関係。偽りの契約を結ばせて言葉巧みに金をだまし取る‥‥。姑息に罪を犯す彼らのような悪人でも、おそらく、その瞬間は緊張しているのではないか。

相手も大人だ。うまく事が運べば大金を手にし、わずかな判断ミスでも起こせば、直ちに留置場行きが確定する。‥そうした、詐欺にかかわる人間たちの模様を“だいぶ”コミカルに描写していたのがマッチスティック・メンだった。

 

 

マッチスティック・メン (字幕版)

 

 

詐欺を稼業とするロイ(ニコラス・ケイジ)とフランク(サム・ロックウェル)は、今日も電話でターゲットに嘘だらけのセールストーク浄水器を売りつけた。しかも、怪しまれる前に政府の役人を装って客の家を訪問し被害届まで出させる念の入れよう。しかし、ロイは客先で病的とも言える潔癖性が出て…… シネマトゥデイより

 

2003年公開のアメリカ映画。ニコラス・ケイジ主演。

 

詐欺の主犯格が極度の潔癖症という、ニコラス演じるロイのキャラ性が、まず最高にいい。部屋に塵ひとつさえあるのも嫌がるのに、相当なヘビースモーカー。ナンなんだ、その矛盾。彼は、自分自身を欺いている(笑)

 

離れて暮らしていた元妻に、実は自分との間にできた娘がいて、彼女も父親に逢いたがっている‥‥そんな驚愕の事実を聴かされたロイ。彼の日常が着実に変わり始めたのも、おもえば、あのときの電話からである。

 

夏休みを利用したやってきた娘との、奇妙な同居生活。突然現れた年頃の娘・アンジェラを前にして、タジタジになる父親の姿は、どこか微笑ましい。‥このあたりのシーンは、特典としてあった製作者の「解説」を聴きながら観ると、また違う見え方もできてしまうのだが、それはここでは言うまい。

 

当作品より以前に「詐欺」というキーワードで結びつく【鑑定士と顔のない依頼人】という映画を視聴している。そちらが男女間の愛が中心に描かれていたのに対し【マッチスティック・メン】は、その対象が“父娘愛”。

視聴者方の評価を高めていたのは、そういった要素が加味されていた可能性もある。それと、エンディングの仕方が【鑑定士】ほど悪いものではなかったのも、もちろん大きい......

 

risingham.hatenadiary.com

 

アンジェラ役のアリソン・ローマンは劇中14歳という年齢設定だったが、実際には撮影当時、22歳の立派な成人女性であったらしい。ホラー映画の傑作【エスター】に負けないくらいの「少女」の役を、元気いっぱいに演じている(食事のとり方、服のセンスも完璧!)

 

ロイの相棒、フランク役にはサム・ロックウェル。彼もまた最高の「演技」をしていて、軽い感じが役にハマっている。

‥‥断っておくが、彼らがコンビを組んでいるときは、誰にも手はあげていない。詐欺を「アート」と捉えるロイも、決して褒められた人間ではないかもしれないが、一定の配慮やプライドに加え、ある種プロの“美学”のようなものを持ちあわせていた。

当作品から本当に得たいのは、そういうことである。

 

 

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