本当に何が起こるか分からないこの世の中。近年多発している、運転ミスが引き起こした交通事故などもそうだけれど、被害者にはまったく落ち度がないという不条理‥‥。『防ぎようがない』と、人々がうなだれるのも無理はない。
他方、もう中年の域に達した自分にかんしては、そこまで「生」に執着しているわけでもなく、さほど未練はない。‥‥あるとすれば「死」によって北海道日本ハムファイターズを永久に見続けられないのが残念だ。過去二回の日本一は最高の勝ち方をしてくれたし、その点については良かったのだが、もし近い将来、めっぽう球が速いあの球児がファイターズに入団する運命にあるとすれば‥‥やはり、それも見届けたい。
もっと言えば、新球場でプレイする選手も見てみたい。清宮や吉田輝の「20年後」がどうなっているのかも知りたい。‥これらの問題は“あの世”にもネット環境が完備されていたら、クリアされるのだが(笑)
ドライチが「確実視」されている、令和の怪物
さて、その清宮幸太郎に「令和初」今季1号が飛び出した、30日の千葉ロッテ戦。一軍昇格について「時期尚早」の声も多くあったなか、同日現在6試合の出場で、はや9打点の活躍ぶりだ。彼と同じくらい、昇格を決断した栗山英樹監督もホッとしていると思う。
前日の田中賢介の逆転弾‥。実、その前に清宮の四球があった。ハタチと思えぬ打席上で醸し出される威圧感は、なにも【スターウォーズ】の登場曲だけが理由ではないだろう。ホームランバッター特有の独特なオーラがある。そして今回、清宮より触れておかねばならないのが、自身3年ぶりの完封勝利を収めた有原航平だ。
完投する投手が少なくなった今日、1試合13奪三振とか久々に聴いた思い。昨年までは決して三振を多く奪う投手ではなかった。この“変身”には、金子弌大が助言があったとされている。金子直伝の「チェンジアップ」をマスターしたことにより、持ち味の速いボールが活かされた格好。緩急自在の投球で、ロッテ打線に的を絞らせなかった。
球威も最後まで衰えず、無四球完封のオマケつき。連戦が続くなかで出た「チーム初完投」も嬉しい。
メンタルの部分で指摘されることが多かった。今シーズンも敵地でのロッテ戦(4/21)。誰に何を言われたのかまでは確認できなかったけれど、それに反応をした有原が、マウンド上で何事か声を荒げるシーンが見られた。そして、直後に失点を喫する。
‥おそらく彼は「完璧主義者」なのだろう。ペースが乱されるのを極端に嫌う。しかし、こういったことを繰り返し露呈していては、相手の思うツボである。ゲームを支配する投手が感情的になってはいけない。
近ごろよく目にするのは、回を投げ終えた有原の隣で常に寄り添っているベテラン選手の姿‥‥。田中賢介だ。
ベンチ内の田中賢が、有原のメンタル面を都度フォローしているという見方、意見がもっぱらである。たしかに“熱くなりやすい”彼がベンチ内での何気ない会話によって、冷静さを取り戻すことだってあるだろう。頼れるベテランはこんなところでも有原を、チームを救っていた。
金子、田中といった先輩選手の「サポート」を受けて、今季、有原が着実にエースの階段を昇っている。