24日、パ・リーグの最終順位が決まった――
前日まで1球団たりとも確定していなかった順位が、わずか一日で。これはプロ野球が始まって以来の「珍事」ではないか。優勝争いとクライマックスシリーズ進出争いの同時進行‥。当日、テレビまたはスマホから目が離せなかった野球ファンも大勢いらしたことだろう。
終始ビジター開催で収益を見込めない、“ただ金がかかる”だけで、実、敬遠したがる経営者も少なからずいるといわれる3位には、東北楽天。‥カネを持っている球団でよかった(笑)。先発に好投手擁する楽天は、非常に“短期決戦向き”。「下克上」もあり得る、おもしろい存在だ。
5位と6位の狭間にいたオリックス対北海道日本ハム、京セラドームで行われた試合など、よほどコアなファンでもないかぎり誰も注目していなかったと思うが、勝者は日ハム。
しかしながら、あらためてCSにも進めないとは‥‥。夏場の凋落ぶりは、目に余るものがあった。だが、考えようによっては今季、ペナントレースを盛り上げたのはハムではなかったか。上がったり勝手に沈んでいったり、ずいぶんとパ・リーグの順位を引っかき回してしてくれた(笑)。ここにきて栗山監督の進退問題も浮上。‥今後は、こういったコトもどっぷりと語っていきたい。我々には時間がある。
優勝は連覇を飾った、埼玉西武ライオンズ。強力打線がどうの‥昨オフに主力が流失したにも拘わらず‥とは、すでに他サイトなどでも語られている。ならば、ということで私は他の箇所に関心を向けると、意外にも?若手投手が充実していた点。
先発ローテの高橋光成が10勝、今井達也7勝、ルーキーの松本航も7勝(24日時点)。彼らの共通点は「ドライチ」だ。ザっと名簿を見渡すと、この球団もドラフト戦略がなかなかに巧みなのである。
捕手の森友哉を含めると、高卒選手は2~3年できちんと一人前に育て上げ、十亀、増田、多和田らピンポイントで弱点を補う補強もできている。これに、今シーズンは外国人も11連勝のザック・ニールでアタリだとくれば、優勝もむべなるかなといったところ。連覇には相応の理由があった。
昨年までのエース。ホークスだけには勝てなかったが.....
性分になく他チームを讃えていたから、なんだかこそばゆい。
‥ここからは北海道日本ハムの話をしよう。さぞかし後味の悪いシーズンを過ごされたであろうファイターズファンの方々にも、唯一「朗報」がある。ドラフト時、兼ねてから指名を明言している、佐々木朗希投手の交渉権獲得がグッと高まったとみていい。
これが“節理”なのだ。シーズンの内容が悪ければ、逆に「オフの主役」となるのが北海道日本ハム球団。斎藤佑樹(2010年)や清宮幸太郎(2017年)の例を挙げるまでもないが、彼らのごとく佐々木君も「トキの寵児」と、野球の神様に判断されれば、ほぼ間違いなく今回も、ファイターズはドラフトの目玉を獲得できる。だから、ドラフト会議にはかんしては、ファンの皆さまも期待してもらっていい。
(詳)実証済み?
◇タイトル争いの行方
24日の京セラドームのオリックス戦は注目度が低かったと、先ほど記した。ところが意外なところで熱いバトルで勃発していたのである。近藤健介と吉田正尚による、パ・リーグ「出塁率王争い」。試合が終わった時点で1位の近藤.422、2位の吉田が.417。わずか五厘差。
この日、近藤は試合に出場せず、吉田の動向を見守る形をとった。抜かれる可能性もあったが、5打席立って2出塁‥。近藤が辛くもトップをキープした。
厄介なのは、ファイターズの残り2試合が、ともにオリックス戦であること。「首位打者争い」なら単に勝負を避ければ済む話だけれども、四球や死球も“率”に換算される出塁率は、そうもいかない。勝負をすることが、まず大前提としてあるのだ。
このままの展開でいけば、近藤は残りの試合も出場を見合わせるのではないか。自身初の打撃タイトル獲得は、まさしく吉田正尚に対するファイターズ投手陣たちの手に委ねられている 《了》