樋口毅宏著【タモリ論】の世間様からの評価が、まぁ低いこと.......
個人的にいちばん許せなかったのは、同著でビートたけしへの愛も語っている点だ。タモリとたけし、両方が好きなんて往時のファンからすればありえない視点。
人気絶頂の頃の競演はほとんどなく、あくまで噂のレベルではあるが、芸風も異なる二人の仲は、悪いとされていた。我が家のケースをとってみても私は「タモリ派」、母は「たけし派」といった具合である(元テレなど一部の番組は好きだった)。したがって両者との共演も多く、比較的、中立な立場をとっていた明石家さんま“も”好きなら、まだ話は通じるのだが。
筆者の「タモリ好き」を決定づけたのは、言わずと知れた【世にも奇妙な物語】。これ以外にも【Mステ】と【笑っていいとも!】は、かなりの頻度で視ていた。そう考えると、特に1980年代後半以降のタモさんは「司会者」とか「案内人」のような地位を、すでに確立していたことになる。
でも、やはり世間一般のイメージでいえば「お昼の顔」‥タモさん=いいとも!ではなかろうか。【タモリ論】を名乗るだけに、いいとも!の逸話・秘話の類もたくさん覗けると思ったら、案外そうでもない。訊けば全放送の1/10も観ていないという。それが本当なら、おそらく私よりも少ない。よくぞ「いいともマニア」(同著より)を語れたものだ。
オープニングに必ず姿を見せた、ピンク髪の青年は今いずこ
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なるほど、どうりで有名なエピソードしか書かれていない。たとえば生放送ならではのハプニングについて記された項でも、有吉佐和子の「テレフォンショッキングジャック」だったり、山崎邦正(現・月亭方正)出演時の「年内放送終了するんですか事件」であったり。
しかし、筆者から言わせればあんなのハプニングのうちに入らない。いずれも笑いに転化することができたのだから(もちろん当時の関係者は焦っていただろうが)。携わる芸人によっては“オイシイ”事件ともなる。
笑いにもならないのが、本当の事件。筆者は2回、いいとも!で目撃している。
ひとつが「手錠事件」。この回はたまたまリアルタイムで視聴していて、長らくトラウマとなった。ある企画に参加した素人が自らとタモさんに手錠をはめ、外せなくなってしまったという‥‥。後年ネットあるいはテレビで、コトの顛末を語るタレントもいたからご存知の方もいるかと思う。
幸運にも最近、某所で当時のVTRを視る機会に恵まれ、約四半世紀ぶりに確認すると、ヤバい。共演の片岡鶴太郎が、まさに『シャレにならない』 と激怒しているのだ。あの久本雅美でさえ動揺の色が隠せずに、珍しく噛んでいる。‥新たな気づきとともに、あらためて当該シーンの恐ろしさに震慄。
もうひとつは「RISKY事件」。これはわりと有名だが、一般の方が番組に送ったB´zの【RISKY】という楽曲のCDに、まったく別の音源が収録されていて、心霊企画で紹介されたもの。
だいぶ経ってから、それが灰野敬二氏が作った曲であることが判明したのだけれど、曲中、女?のうめき声や悲鳴があまりにリアルすぎて、客席および視聴者が凍り付いてしまったのは言うまでもない(南原清隆のビビり具合には笑えたが)。
もしかしたら、当時の様子が動画サイトなどで覗けるかも。その暁にはぜひ視てほしいのだが、種が解かっていても怖いから、本当に‥。
私が思う、いいとも史上最強最悪のトラウマ回。これらは【タモリ論】では論じられていなかったが、“笑えない”いいとも!だから、あえて載せなかったのか‥‥だとすれば著者の見識は、間違っていない。
《参考》