昨年、都内の自宅で孤独死していたという「金ピカ先生」こと、佐藤忠志さん。ゲンダイの追悼記事がヤバかった――
‥‥なんだろう、この文章からにじみ出る「絶望」具合は。哀しい、を通り過ぎて少し怖い。「金ピカ先生」については、筆者も薄っすら記憶しているくらいだが、予備校講師の年収が億だったとか、あらためて訊くと信じられないことばかりだ。
もっとも、本の執筆にタレント活動といった“副業”による収入も、かなりのウェートを占めていたのだろう。にしても今、よく似た活動をしている林修(54)とて、そこまでの稼ぎはないのではないか。当時は子供も多かったし、バブル期の真っただ中‥。時代といえばそれまでだけれど。
また、生活保護で食いつないでいたという晩年の生活ぶり‥。言ってみればこれも「現代的」であり、いっそう“落差”のようなものを感じさせる。
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◇「雑居房」へようこそ
2018年に新幹線で事件を犯した男が「無期懲役」の判決に万歳三唱――
まったく理解不能な判決だ。この男は複数人に刃を向けている‥。死者が、もっと出ていたかもしれないのだ。それでいて亡くなった方が一人だからと、無期懲役に“減刑”されたのはおかしい。そもそも彼は『一生刑務所に入りたかった』との身勝手な理由で凶行に及んでいる。何も願いを叶えてあげることはないだろう。
‥‥思うに、衣食住と安全が保証された、気ままな“一人暮らし”なようなものをイメージしているのではないか。たしかに、重罪を犯した彼のようなタイプは、おそらく独居房に収容されることになるだろう。これが誠に悔しい。仮に「雑居房」なら、そうはならないからだ。
関連する書籍と“経験者”のブログを読んだかぎりでは、雑居房は相当不自由な生活を強いられるそうだ。狭い部屋のなかでも厳しいルールがあり、服役の長い先輩からの命令は絶対。場合によっては生き地獄と化す‥。「安住」とは程遠い世界なのである。
ここで刑務所生活の厳しさ、辛さを、彼にぜひ知ってほしかったのだが。でなければ、犠牲になった方々が浮かばれない。
◇箱の中身
昨年12月、東京都青梅市で起きた事件は犯人も捕まり、徐々に収束の方向へ向かっている――
このニュース、初見からけっこう気になっていた。一連の記事によると、被害に遭ってしまった方は、普段から大金を持ち歩いていたのだとか。どのようにして財を成したのかは不明。それが犯人を呼び寄せたのは言うまでもない。
ところが、である。犯人は金を奪えず逃走。億単位のカネが詰め込まれていたとされる「アタッシュケース」には、蓋をあけてみれば、表面だけが本物の紙幣‥。つまり、実際には10万円程度のカネしかなかったのだそう。いわゆる“見せかけ”の大金のために、結果、命まで奪われてしまったのだとしたら、小説ならともかくシャレにならない(犯人は室内の現金には手付かずだった模様)。
カネは人を幸福にも、不幸にもする。