中田翔が体調不良で出場選手登録を抹消されたとの由.......
こうした記事を見かけるたび、首脳陣の何か「配慮」のように思えてくる。
例によって、ここでは厳しいことを書かせてもらえば、それだけの出場機会を与えてもらいながら打率が1割台の体たらくであったなら、球団によっては問答無用で二軍行きを通告されている。‥上の記事が仮に事実だとして、チームが苦境に立たされている今、コロナ関連以外の体調不良とやらで主軸が戦線から離れてしまうのは「自己管理」の面で、プロ野球選手としてどうかとも感じる。
栗山政権の10年=中田を慮ってきた10年――
それは、そのまま私たちに多くの苦悩を、もたらし続けた10年間だった。単に不調だからと4番の座から降ろせたら、あるいは二軍に落とせれば、どんなに楽か。‥NAKATAという、ある種、特異なオーラがそれをさせてくれない。その点では、心優しき栗さんに同情すべき点もある。
毎シーズン恒例の極度な大スランプに、試合に出てナンボの世界にあって言語道断な本人の不注意から負ったケガ、そして今回の体調不良による欠場。‥栗さんといい、どこまでも温かい眼差しを向けていられる北海道のファン方に、むしろ私は敬意の念すら覚える。
◇WeeklyFighters
11日 対オリックス【1-9】
久々の無観客試合。緊急事態宣言最中の東京(ドーム)で試合が組み込まれていたのは不運。試合内容もまた一段とお寒く、序盤から一方的となった。
オリックス先発・宮城大弥がソロホームランを許したのみの1失点。新人王の資格を有する宮城に、東北楽天の早川隆久、ロッテの鈴木昭汰あたりも良い。今年は新人選手の「アタリ年」といえる。
ゆえに北海道日本ハムのドライチ・伊藤大海も、せめてレースに名乗りを挙げてほしいのだが、いかんせん勝ち運に恵まれず‥。さすがに黒星が先行しているようでは印象も悪い。
ただ伊藤大海を観ていて最近思い出すのは、同じ大卒ドライチ右腕の西崎幸広。一年目の彼もシーズン序盤は、勝ちがつかない試合も多かった。それが、途中から10連勝ほどして一気に新人王候補に浮上した例もある。当時の西崎に負けず劣らずな力投を見せる「ニヒルなヒロミ」に、打者陣は報いたい。
近ごろYouTube上でもよく顔を見かける御大(左)
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12日 対オリックス【2-1】
先発の加藤貴之が7回無失点の好投。今季3勝目をあげた。
それにしても、今年の加藤の安定感‥。とにかくコントロールがいい。元々制球の悪い投手ではなかったが、今季はこの日まで計40回を投げて、わずかに8与四球(与死球0)。この「精密機械」ぶりは、往時の武田勝を彷彿させるかのようだ。
最近チラホラ見かけるファンが掲げるボード【加藤で勝とう】。明らかに筆者寄りなオヤジ的ギャグだけれど、そう言いたい気持ちも解かる?安定感。
14日 対福岡ソフトバンク 【2-5】
伊藤大海降板直後、長谷川に2点タイムリーを浴びた公文克彦には心底ガッカリした。直後に二軍行きを言い渡されているだけに、思いは、栗山監督も一緒だったのだろう。
とりわけ今シーズンは中継ぎ以降の投手が不安定。大黒柱の宮西尚生の不調で、根底から揺らいでしまった印象だ。宮西に加え、杉浦稔大、玉井大翔も調子は今一つ。比較的好調を維持しているのは、堀瑞輝とB・ロドリゲス、ふたりだけだ。
15日 対福岡ソフトバンク 【3-7】
昨シーズンまで北海道日本ハムに在籍していたニック・マルティネスに白星を許す屈辱。王柏融と石井一成が、それぞれ2号本塁打。なんでもワン(王)の故郷、台湾では再びフィーバーが起きているそう。本来、中軸を担う大田泰示も2安打で打線に厚みが増した。
16日 対福岡ソフトバンク 【2-2】
今季早くも5試合目の引き分け。これでも同日時点で、パ・リーグでは最少の引き分け数だ。‥どうしてもこうも引き分けが多いのか。
やはり、2021年版新ルール「9回打ち切り」によって、戦い方そのものが変わったのだろう。延長がないことで、最終9回にどのチームも「守護神」を送り出す。敗戦を防ぐためには、たとえ同点の局面であっても。‥引き分けの数が多くなるのは、なるほど必然である。
また、同日から隔離期間を経た西川遥輝、渡邊諒がスタメン復帰。これももちろん大きいが、五十幡亮汰および杉谷拳士をベンチに置いて(残して)おけるのは、もっと大きい。
特に五十幡にはここ一番、走塁のスペシャリストとしての役割を期待したい。9回に渡邊の代走で出場、さっそく盗塁を決めてみせた。
難敵「甲斐キャノン」にも勝った彼の脚は、本物だ。