同一リーグに所属する投手相手に、5年も負け続けていたとは。待望ではあったが、さすがに昔すぎて、前回いつ岸に勝ったのか記憶になく、当時の記録を引っ張り出してきた。
2016年7月26日。当日スタメンで出場していた選手で「5年後」もその名が見られるのは、西川遥輝だけ(中島卓也は出場なし)。クリーンナップは陽岱鋼、中田翔、そして大谷翔平の順。‥隔世の感。あの頃は幸せだった(笑)
とまれ、ようやく岸に土をつけることができた。しかしながら打線はまだまだ拙攻が目立ち、決して彼を攻略したというわけではない。薄氷を踏む思いの勝利ではあったが、結果として、ひとつ勝てば流れは変わる。確実に変えられる。
渡米前に、完膚なきまでにやられ続けた田中将大にも、今季は三戦三勝。あれだけ勝ち運に恵まれなかったルーキーの伊藤大海も、連敗を止めてから実に5連勝だ(新人では06年の八木智哉以来)。北海道日本ハムは、これで「岸の呪縛」からも解き放たれた。もう恐れることはない。
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その岸に投げ勝った伊藤大海は圧巻。断続的に雨が降り注ぐ悪天候の条件下、奪三振は「5」と、彼にしては控えめであったが、代わりに球数ちょうど100の省エネ投球で7回を投げきった。
これまで封印していたのか、投球に幅を広げるため新たに会得したのか、はたまた岸の得意球を「即興」で参考にしたのかは定かでないけれど、見慣れない緩いカーブが観られた。昔でいう「ドロップ」のような軌道である。当然のように打者は面食らって、手も出せずに三振‥。こういった投球まで自在にされたら、打者はますます攻略に手を焼くだろう。
この辺りの多彩さ・器用さ・研究熱心さは、幼い頃より尊敬していたとされるハムOB・ダルビッシュ有にも相通ずるものがある。似ているのは、どうも襟足の長さだけではないようだ。