ここぞの代打の切り札、ならぬ「代走の切り札」。五十幡亮汰の魅力が存分に発揮された日......
2日の埼玉西武戦。7回、ヒットで出た王柏融の代走として起用され、十分に警戒されていたなかで二盗を決めた(危うく牽制死になりかけた場面もあったが)。続く高濱祐仁の右越2塁打に一気に生還。五十幡が得点圏に進んだことで、外野は前めに守っていた。おそらく通常の守備位置ならライトに取られていた打球‥。五十幡の脚で、こじ開けた決勝点だった。
接戦であればあるほど、こうした「ジョーカー」をベンチに持っているのは心強い。だが、野球選手である以上、本人はやはり試合の頭から出たい思いはあるのかもしれない。そう考えると複雑だ。同様にスペシャリスト的な存在となっている千葉ロッテの和田康士朗に比べ、五十幡には打力もあるから余計に悩ましい。できれば打席も見てみたい。
一軍再昇格後、スタメンで2試合に起用されたが、ともに4打数0安打に終わった。五十幡の打撃力向上は、そのままチームの得点力アップに繋がる。来季さらなる飛躍を期待したい。
待望の「ジョーカー」は、幸い五十幡に勝るとも劣らない快速の持ち主、宮田輝星が台頭。彼に任せてみてもおもしろいし、いずれにせよ選択肢が増えるのはチームにとって良いことだ。長打が無いならないなりの、相手にとって「イヤらしい」打線を目指そう。
西川の穴埋めのつもりが、とんだ掘り出し物だった
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二軍最終戦での「引退試合」は、各メディアに取り上げられ、あらためて存在感を示した――
この日、先発したのは吉田輝星。斎藤が甲子園を席巻し「ハンカチ王子」と言われていた頃、まだ吉田は5歳だったから、ほとんど記憶にないだろう。彼らの世代に、二軍でもがき苦しむ「今の斎藤」は、はたしてどう映っていたのだろうか。
栗山政権初年度の2012年、いきなり開幕投手に抜擢された斎藤。先頭打者ヘルマンを三球三振に斬ってとり、続く栗山巧もそうそうに追い込んで、5球連続ストライク投球したときのこと。『思ったよりやるではないか!』そんなふうにスタンドから自然発生した「どよめき」が忘れられない。
この試合に勝利し、斎藤は波に乗った。自身初の完封勝利をあげた同年4月20日のオリックス戦終了時で3勝1敗、防御率1.16の活躍で投手陣をけん引。その成績は、まさに前年チームを離れた、ダルビッシュ級‥‥。開幕戦のお立ち台で言った『ダルさんの穴を埋める』有言実行の奮闘ぶりだった。
こんな輝かしい日々が、プロでもあったのだ。