チームがコロナ禍に見舞われた春先、主戦捕手2人を欠く非常事態.......
この時期、マスクを被り続けていたのが宇佐見真吾。彼のおかげで最大の「危機」を乗り越えることができ、それには感謝する一方で、もう少し打撃の方を何とかならんのかと‥。
5日現在で36打数2安打、打率は.056にしかならない。いくら守りの負担が大きい捕手とはいえ、あまりにも低すぎないか。セ・リーグの投手と同等か、あるいはそれ以下(苦笑)。もっと分かりやすく、宇佐見の半分19打席(18打数)に立ったベテランの鶴岡慎也が5安打を放って.278だ。1割にも遠く満たない打率では巨人から移籍後、最少の試合数で終わってしまったのもやむを得ない。
ドラフトでの補強ポイントに、捕手を挙げる紙面が多く見られる。しかし「即戦力」なキャッチャーは、あまり見たことがない。
昨年、上武大から3位指名。前評判もよかった古川裕大さえも、今季ここまで一軍試合出場数はゼロ。大抵、一人前になるまで数年を要する難しいポジションだ。したがって将来を見据えたものならともかく、新人の捕手をいきなり「戦力」と見なすのは、いささかリスクの高い冒険と思われ.....
現有戦力の底上げができたなら、それが一番良い。宇佐見も含め「トントン」といった塩梅の捕手陣‥。すべての面において優れたキャッチャーなど、12球団を見渡しても多くはないのだから、せめて何かに特化したチカラを身に付けてほしい。「打撃ならこっち」「守りならコイツ」そんな具合に。
前者であれば攻撃型オーダーとなって、投手をバットで盛り立てる。守備型捕手ならリードに長け、投手から信頼も厚く、ムチャクチャ肩が強いであるとか、非力な打撃をカバーできるだけの「何か」を持っている‥‥。
ありがちな、投手との相性によって使い分けたりの「分業制」とは少々意味合いが異なる。もっと個性が引き立つような「強い」捕手の育成を、私はひそかに望んでいる。
いま振り返ると、異様な光景だった.....
壇上にはケーキが運ばれ、スタンドではインタビュアーに促されて「ハッピーバースデー」の大合唱。これが野球の試合、厳密には試合終了直後に繰り広げられた、お立ち台での光景である。
バースデー登板した、広島との交流戦では話題のルーキー・野村祐輔に投げ勝ち(敗戦投手は岸本)、5勝目。さすがにあの合唱には照れもあったのか、心なし居心地が悪そうだった。
‥なぜか、この日を境にまったく勝てなくなってしまった。2012年の勝ち星は、結局これが最後。自身4連敗でシーズンを終えると、結果的に現役引退まで残りの9年間で4勝(16敗)しかあげられなかった。
バースデー勝利以降、札幌ドームで斎藤がヒーローになれたのは、筆者の記憶が正しければ一度きりである。