先日発売の「週刊ベースボール」。自身が持つ連載で 張本勲が吼えていた
曰く、ポスティングシステムとWBCは止めるべきだと。日本野球の未来を危惧した前者の方は解るけれども、WBCはさすがにどうかと。コロナ禍を経て6年ぶりとなる開催‥。村上宗隆、大谷翔平ら国内トップクラスの選手が集う、かもしれないWBCに期待を寄せている野球ファンも大勢いると思うが。
いや、野球ファン以外でも昨今の大谷の活躍によって「ベースボール」に注目をしだした層が幅広い世代にあり、あらたなファン(顧客)獲得、ひいてはその後に開幕するプロ野球にも目が向けられてくるだろう。悪い話ではない。
張本氏が廃止を訴えているのは、時期的なもの。「開催時期がよくない」のだと。誌面ではWBCへ選手の派遣を行わなかった、かつての落合元中日監督を大いに肯定。調整を早めることでシーズンに影響する‥。たしかに3月はまだ寒さの残る時期で、故障に繋がるリスクもある。
これには筆者も苦い思い出があった。今大会の出場を決めた、ダルビッシュ有。
彼がファイターズ在籍時。WBCに出場した年にやってしまった。野球通の間では有名な日本シリーズ「立ち投げ投法」をした、あの年。下半身のケガが起因しているのだが、当時のダルにはほとんど「オフ」がなかった。
第7戦までもつれれば、もう一度先発の可能性もあった
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2006年と2007年はプレーオフを勝ち抜けて日本シリーズまで「完走」。両シリーズとも、彼は中4日で先発登板をはたしている。北京五輪があった2008年もクライマックスシリーズで2試合に先発し、迎えた2009年春のWBC出場。ついにパンクしてしまった。
休みなく投げ続けてきたツケ‥。当人からもそんな趣旨のコメントがあったと記憶している。ただ、当時とちがい、近ごろは日本シリーズでも中4日で登板させるような監督は見られない。ダルに匹敵するほど勝率が高い現代のオリックスの山本由伸さえ、毎回それ以上の間隔を空けさせていた。そうしたメカニズムの研究やケアの仕方は14年前と比べ、格段に進歩している。選手の「無事」を願うのはワシとて一緒だが、シーズン開幕前にレベルの高い野球を拝める楽しみの方が勝ってしまう。
別件で、なかなかに興味深い記事があった。
トレード云々の話ではなく、今季の福岡ソフトバンク投手陣のストレートの平均球速が148.2キロであったことと、ファイターズの同平均球速が12球団最低の144.8キロらしかったこと。ホークスの「速さ」にも驚きだが、これを全部集計して平均球速を出した人もすごい(笑)
それにしてもファイターズがいちばん下とは‥。言われてみれば、常時、豪速球を投げ込むような投手はいなかった。しいていえば好調時に155キロ近辺のボールを投げ込んでいたルーキーの北山亘基、くらいか。トミー・ジョン手術の影響か、石川直也も往時と比べ、ずいぶんと球速を落としていた(Tjならまた速くなるかも)。大谷が160キロ台を連発し、150キロ台すら遅く感じたのも今は昔。
記事中の齋藤友以外、平均球速アップに向けてひそかに期待寄せているのが、来季の残留が決まったジョン・ガント。今シーズンは一、二軍とも登板がなく、まったくベールに包まれた存在‥。ちなみにガントで変換しようとすると「癌と」と真っ先に変換されてしまうのが厭なのだが、それは余談。
情報によれば159キロのストレートを投げ、シンカーの最速がなんと 155キロ! ほんまかいなってハナシなのだが、事実だとすれば頼もしい(Wikipedia調べ)。
今年の日本シリーズでオリックス投手陣が魅せていたような力でねじ伏せられるような、ストレート一本で勝負できる投手の出現を望みたい。
《参考》週刊ベースボール 2022年 12/12号 [雑誌]