2022年も数多くの名画と出合えた――
これもひとえにテレ東発【午後のロードショー】のおかげである。オンタイムでいけるときは昼間から、いけないときは録ったものを夜間に酒を飲みながら観るのがMy至福の時間w
ほとんどの作品をチェックしてきたが、上半期と比べるといささか選考に迷った。‥いや、イイ作品は相変わらず多かったのだけれど、飛びぬけたものが少なかった印象か。今回は7月から、先日年内の放送を終えた12月までの作品をランキング形式で紹介したい(選抜の仕方は過去記事参照のこと)。
5位 【ダブル・ジョパディー】アシュレイ・ジャッド
このラインを選ぶのに苦労した。上位には行かない(行かせたくない)けれど、圏外にするのも捨てがたい、的な。具体的には【ギフト】【イコライザー】【ファイナル・スコア】。苦心のすえ本作を選んだのは‥‥。
皆さん「ドッキリ」がお好きなんでしょう? 今、ゴールデンなんかでもテレビで盛んに放送されているし。なら【ダブル・ジョバディー】推し。ある晩、身に覚えのない夫の殺害容疑で刑務所送りに。実は夫にハメられた罠だったことが後に判明するのだが、世間は、そんな壮大に仕組まれた「ドッキリ」とはつゆ知らず。服役までさせられるのだから堪ったもんじゃない。
保護観察官(トミー・リー・ジョーンズ)の目を盗んで大脱走劇。そして真相をつかんでの共闘、狂気の夫に立ち向かうといったストーリーで、ある意味予想を裏切らないラストに皆ホッコリ?
4位 【マイ・ボディガード】デンゼル・ワシントン
中年男性と少女の交流‥。殺し屋に扮したジャンレノ主演の【レオン】と被る(こちらも今年「午後ロー」で放送)。けれども、芸術性の高さという観点で、こちらに分があった。映像も美しい。
あろうことか職務中に少女を連れ去られてしまう。そこから、一度は人生を諦めていたようなアル中・ボディガードが一念発起。強い信念と何か目的さえあれば人は変われることを、本作品は我々に呈示してくれる。時間をとって、連れ去られるまで描かれていた少女の見守り方も微笑ましく。二転三転のラストまで目が離せない。
3位 【ボーン・コレクター】デンゼル・ワシントン
かつて日本のドラマで『事件は会議室ではなく現場で起きている』そう言った刑事がいた。だが、現場まで赴かずとも事件を解決させてしまう凄腕が、リンカーンを演じる、こちらもデンゼル・ワシントン。それもそのはずで、職務中に負った以前の怪我が原因で寝たきりなのである。コンピューターや現場写真、持ち前の頭脳を駆使して病室で、すべて完結する。
そんな身動きの取れない彼が最後、真犯人と「一戦」を繰り広げるのも見どころのひとつ。【マイ・ボディガード】、同じく主演を務めた【イコライザー】の強いデンゼルとは打って変わっての、完全インテリ型。下半期は彼に愉しませてもらった。
2位 【グラン・トリノ】クリント・イーストウッド
実は当作品を視たのは二回目。最初は、そこまで深い感銘は受けなかった。ところが二回見て変わった。イーストウッド演じる孤独の老人と中国人少年タオとの交流が軸として描かれる一方で、親の存在を疎ましく思う子どもたちの様子が随所で。そんな子どもたちに、イーストウッドが痛快な復讐を遂げる。言えるのは高齢化社会ニッポン‥ 皆も『親を大事にしよう』。
彼の特集は番組でよく組まれる。明らかに老境を意識した新しい作品には、以前のような「刺激」はないが、全体スローなテンポが、やはり若者ではない私には心地よい。
1位 【ホテル・ムンバイ】デヴ・パテル
実話を基にして描かれた同作品。怖いもの見たさの方にはぜひ一度、観ていただきたい?
(C)amazon
テロリストが押し入ったホテルに缶詰め状態となった宿泊客。逃げ惑う彼らに向けて見境なく銃をぶっ放す映像は、ただただ恐怖でしかない。その煽り方も秀逸であり、ヘタなホラー作品よりもよほど怖い。銃を持った相手に「闘う」といった選択肢は基本ない。「逃げる」か「隠れる」か。大層リアルな恐怖がここにある。
「番外編」として、貴重な邦画枠で観た【八日目の蝉】。犯罪者と分かっていながら視点のちがいで、子どもを誘拐した永作博美に肩入れしてしまう作品。井上真央の演技から察するに生みの親より育ての親、なのだろうか‥。売れないライター役の小池栄子も少し不思議な女性を上手く演じていた。