4月30日現在でセントラルリーグの打率10傑は全員が3割超。パシフィックは、ここにきて埼玉西武の中村剛也が規定打席に到達し、合計4人。先のハム戦で「爆上がり」したトップの柳田悠岐と中村が3割5分越えで何とか面目は保ったけれど、パはまだまだ投高打低といった印象だ。
そんな中、驚異の打率4割越え、秋山翔吾(広島東洋)と自主トレを共にした五十幡亮汰の株が急上昇中。同30日はいずれもヒットで出塁後、快足とばして万波中正(犠飛)と松本剛(適時打)に打点のプレゼント。いずれも他走者なら還って来れなかったであろうスピードは圧巻であった。
なるほど、新庄監督ではないがこれなら頭から使いたくなる。代走や守備固めだけではもったいない。なにせ五十幡が塁に出させすれば得点に絡む確率は極めて高くなる。「秋山効果」か課題とされていた打撃面も同日含め連続マルチ安打を記録しており、復調の気配。万波を内野に回してまで固執してきた五十幡起用が、ようやく報われつつある。
プロ入り当初は故障がちで出場もままならず、同じ中央大からなら(指名順で)先に獲得できた『牧秀吾をなぜ獲らなかった』そう悔いたものだが、五十幡の脚力は確かに魅力的。人間とは現金な生き物だ(苦笑)。開幕直後こそ盗塁死も続いたが、ここにきて連続して成功。春の暖かな陽気とともに五十幡の脚がノッてきた。
(C)amazon リーグトップの7盗塁をマーク
4月最後にあたった福岡ソフトバンク戦は、見どころが多し。まずは30日の試合で勝利投手に「なり損ねた」ドラ6ルーキー・宮内春輝。右サイドから150キロ前後の剛球を投げ込むスタイルは右打者には脅威、なのではないか。さながら、北の林昌勇。
開幕一軍こそ逃したが、オープン戦でも結果を残していたし、ドラフト下位でこれほどの選手が残っていたとは。昨年の北山、上川畑といい担当スカウトは冥利に尽きるだろう。
筆者もあまり彼を存じていなかったので、あらためて調べてみたら、千葉の多古(たこ)高卒。決して野球の名門とはいえない高校から、大学も明星大出‥。日本製紙石巻を経てプロ入りとは、叩き上げもいいところ。強気の直球攻めで満塁のピンチを凌いだこの日のような投球を継続できれば、そう遠くないうちにプロ初勝利もつかめるのではないか。
その宮内をリードしたのが伏見寅威。先発マスクをかぶっていたアリエル・マルティネスに替わって、しかも回の途中での急きょの出場だったが、結果的にはその采配が勝敗を分けた格好。百戦捕手の存在は頼もしく。
それにしたって「マルティネス捕手」には面食らった。いちおう本職らしいのだが、前述の伏見、清水優心も好調であるゆえ、捕手での出番はそうそうないと思っていたから。
今季初先発のコナー・メネズと組ませ「外国人バッテリー」を実現させるとは、なかなか乙である。バッテリーはもとより外国人がマスクをかぶったこと自体、ちょっと筆者も記憶にないのだけれども、過去、ファイターズにあったのだろうか。‥おもしろい試みだとは思う。
ドライチ・矢澤公太がプロ初ホームラン。ライトスタンドに放り込んだ打球は、スラッガーそのもの。左打席からの思いきりのよいスイングは、かつての小笠原道大を彷彿とさせた。
オープン戦を観ていても野手で通用するのはある程度予測できたが、あくまで投打二刀流を貫く。2日の二軍戦では、さっそく投手として出場する模様。
‥考えてみたら矢澤と同年齢時、プロ入り5年目の大谷翔平はすでに二刀流の「完成形」に近かった。しかし、そこは大卒と高卒、プロ入りの早さのちがいがある。ここから矢澤が投打で活躍を見せようものなら、ますます「二刀流人口」は増えていくのだろうか。その先陣を切った格好の矢澤の一挙手一投足に注目が集まる。