ちょっと、エラー多すぎやないか‥‥?
25日の時点で両リーグ最多、その手の部門で「横綱」だった阪神よりも上の 85失策。今季から使用球場が変わった、人工芝から不慣れな天然芝に変わった等々の事情もあるにせよ「85」のうち、筆者もいちいち数えていないから判らないが、おそらくビジターのものも半数近くを占めているだろうから、球場の問題ではない。技術の問題だ。
ペナント最終盤になって、また意気消沈させられた。24日の東北楽天戦、7回守りのシーン。一塁走者・小深田が盗塁を試み、捕手の田宮裕涼がタイミングアウトのストライク送球。しかし、これを二塁に入った中島卓也が落球‥。結果、盗塁成功となって、ピンチが拡大する場面だ。
何にガッカリしたって、もちろんそこでピンチの芽を摘んでいれば当該イニングの同点劇、ひいては後のサヨナラ負けを防げていた可能性があるのもそうだが、それより‥ 田宮がヒーローになれる機会を、中堅選手が失くしてしまった点。
今月に入って初めて一軍にあがった田宮。そんな彼が強肩ぶりを発揮し、スタメンで起用された同試合では前に、ニ度も盗塁を刺していた。もし「三度目」となって、チームが勝利しようものなら翌日のスポーツ紙などで『ユア(裕涼)キャノン発動!』そう大々的に取り上げられていた、かもしれない。必然、名前も売れた。‥そういった意味で、少々大げさのようだが有望な若者が未来へ羽ばたく機会を、味方の実質的なエラーで逸したこと‥ それが、何よりも残念であった(ちなみサヨナラの場面も遊撃手のミスが絡んでいた。念のため)。
その田宮に乗せられ、6回無失点の好投を演じたのが 加藤貴之。わずか78球で降板、そこにどんな意図が首脳陣にあったのか傍観者にはサッパリわからないが、最終登板くらい(?)気持ちよく勝利投手にならせてあげたかった。
しかし、この加藤‥ 今季はよく打たれた。与四球の少なさは相変わらずなのだけれど、ここまで163回1/3を投げて162本もヒットを打たれている。1イニングあたり、ほぼヒット1本浴びていた換算。
参考までに、規定投球回数に到達している投手で投球回数を上回る安打数を許しているのは、パ・リーグでは楽天の田中将大だけ(25日時点)。おかげでWHIP(1投球回あたり何人の走者を許したかを表す数値)が昨シーズン「0.91」だったのに対し、2023年シーズンは「1.09」にまで上がった。このあたりにも、今季の加藤の苦闘ぶりがうかがえる。
(C)amazon その去就が注目される
ただ、筆者は加藤にかんしては「同情」していて、総体的に打線の援護に恵まれなかったのはもちろん、半年も前から「開幕投手」に指名した新庄監督のやり方に、若干の憤りを覚えている。
異例の早期抜擢‥ 気持ちの持っていき方や高め方、いろいろ調整も難しかっただろうし、なおかつ新球場のオープニングゲームとあって、いくら百戦の投手であろうと、相当なプレッシャーはあったはずだ。しかも、その楽天との開幕戦に敗れてしまったことで出鼻をくじかれてしまった側面もあったろう。あれほど得意にしていた楽天戦も、今シーズンは7試合に登板して1勝(2敗)どまりだった。‥続投報道のあった監督には、できればあのような采配は今後、避けていただきたい。
加藤で思うように星を取れなかったのもあって、楽天戦の年間カード負け越し‥ すなわちパ全球団相手に負け越しが決定した。