いま思えば、とても厭な時代だった‥‥。
1990年代後半の世紀末、「キレる」厳密には「他人がキレるのを観る」のが、矢鱈に流行っていた。フジ系【愛する二人別れる二人】で旦那と嫁の不倫相手を戦わせ、TBS系【ガチンコ】では公然と一般人による暴力行為がカメラの前で行われていた。いずれの番組も後にヤラセだったことが判明したけれど、これも想像以上に反響が大きかったがための過剰演出だったのだろう。
ただ、なんとなく惹かれるのは解る。大抵のヒトは他人様に、滅多にはブチギレたりできないから、そうした類の映像をみることで自身に置き換え、ある種ストレス解消の手立てとしているのではないか。イイ齢した大人たちが我を忘れてブチギレる‥ 今昔プロ野球の【珍プレー好プレー集】で必ずといっていいほど乱闘コーナーを設けているのも一定数の需要があるからに他ならない。
それに比べ、令和のプロ野球選手はおとなしくなった。先日、万波中正が頭部付近に死球をくらって一瞬マウンド上の投手を睨み返すも、一塁塁上で、もう笑っていた。
‥どうだろう。中田翔、陽岱鋼、岡大海なき今のファイターズで試合中にキレそうな選手は皆無である。別にそれ自体を良いと言っているわけではないが、大沢‥上田‥大島‥ 退場経験も豊富な?まず歴代の監督からして血の気が多かったのと比べると、やはり隔世の感がある。
2016年に果たした日本一メンバーで現在も主力で残っているのは中島卓、宮西、清水、加藤貴と数えるほど。‥後半戦からここに、支配下登録された鍵谷陽平が「復帰」してくる。
当時は速球を武器としていた投手だったけれど、セ・リーグに行き、キャリアと年齢を重ねた鍵谷がどんな投球ぶりを見せてくれるのか楽しみだ。若手が多いなかで、ベテラン投手の味にも期待。