『勝ちに飢えている』とは、お立ち台での清宮幸太郎談。
‥なるほど、清宮がファイターズに入団した初年度こそ3位だったが、以降の5シーズンは5位と6位だけ。20年代はCS進出争いにすら絡めておらず、現場レベルでは観ているだけの我々以上に「負け続けている」感覚ではなかろうか。
それほどに負け続けてきたせいか、今のところ勝率5割以上をキープさせている今シーズンは、ファン目線で「かなり勝っている」印象。‥むろん首位をひた走るホークスと比べればかわいいもので「錯覚」にすぎないことは、ワシとて重々承知しているが(笑)
ただ、白星の数だけではない今季「満足度」が高いのは確か。月並みだけれど、勝利への執念というか、敗戦のなかであっても愉しい試合が多い。無駄なミスも、今季は減った。
6日の敵地・イーグルス戦も、直前の好機を逸したうえに9回に追いつかれて、明らかに「敗戦ムード」だった。しかし、結果として延長10回に勝ち越し、勝利を収めたのだから、ナインは誰一人として諦めていなかったのだろう。天晴れである。
ひとつ言えるのは、なかなか昨年まで観られなかった光景であること。昨シーズンまでの流れなら、恐らく、そのままサヨナラ負けを食らっていたのではないか。‥清宮の言う勝利への「飢え」が、チーム全体に浸透してきているのを、あらためて実感した次第。
監督就任から3年目。連続年最下位からの脱却へ、進退をかけて臨んでいる新庄采配も、今季はやたらに冴えている。特に選手起用において、目を見張る。ファイターズ1点リードで好機を逃した当該場面は、無死からマルティネスがヒットで出塁。通常であれば『代走イソハタ!』となるところ、この日ベンチスタートだった水谷瞬を代走に起用。
「延長回も睨んで」という采配はわりとオーソドックスだが、その水谷が回ってきた打席で則本昂大からしぶとく四球を選び、後の満弾への足掛かりをつくったのだから、やはり「冴えていた」としか言いようがない。仮に五十幡が打席に立っていたら則本の直球に押し切られていた‥ かどうか。
(C)amazon 水谷の貢献度は計り知れない
それにしても、先発好投した金村尚真に白星を送った万波中正の決勝グランドスラムはすばらしかった。逆方向へあれほど強く、遠くに飛ばせる右打者は今、日本で万波くらいではないか。まさにメジャー級。
勝利に飢えた逞しい若武者たちが揃う今年のファイターズには、頼もしさがある。