フジテレビといえば、眠れる森‥。
当時としては珍しい、本格派なミステリー連続ドラマ。原作者であり、脚本も務めた野沢尚の作風はある種、独特だ。
キチっと最終話で「真犯人」が判明するのが、野沢流。当作品も事前に予想するのは、なかなか困難だった。放送が終わってから『オープニングにヒントがあった』とか、色々こじつけが見られたけれども、あの当時、筆者にはまったく分からなかった。‥というか、終盤の演出からして真犯人は絶対 陣内(孝則)!、ほとんど多くの視聴者がそう疑わなかったハズ‥。それが、最後の最後ですべてをひっくり返すのが、野沢流である。
いや【眠れる森】は、まだ良かった方かもしれない。少なくともその人物は真犯人の「候補」には挙がっていた。まだインターネットも全国的に普及しだす前だというのに、世に非難が渦巻いたのは、同じく野沢氏が制作にあたった【氷の世界】という作品。
犯人が最終話まで予測できなかった部分において、ミステリー担当の野沢氏は「してやったり」だったかもしれないが、あまりに予想外の犯人に、逆に視聴者から非難が殺到。さすがに、アイツはありえねーだろ!と(苦笑)
‥まぁ2時間ドラマ枠とちがって連続ドラマの場合、結末をできるだけ引っ張り続けなければならないわけだから、素人には分からぬ難しさもあっただろう。『どんでん返しにも程がある』というのは所詮、われわれ視聴者の勝手の言い分だ。
(C)amazon ユースケ・サンタマリアが笑いなしのガチ演技
中山美穂と木村拓哉がタッグを組んだことで話題を集めた、眠れる森。意外なところで前者は記念すべき「世にも奇妙な物語」第1作目の主演を張っている。‥これから自然発生的に触れられる機会も多くなるだろうが、30年超の歴史を誇る同物語の先陣を切ったのが、実、若き日の中山氏だったのである。
彼女を皮切りにして【眠れる森】で共演した木村拓哉、陣内孝則、仲村トオル、ユースケがそれぞれ「奇妙」作品に主演経験有り。もはや、日本芸能史を語るうえで欠かせない「物語」 となってきている。