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【「ドラクエ7」という名の深淵 回る「歯車」と救いなき石板の旅「テレビ」ここまで言って委員会33】メランコリー親父のやきう日誌 《2026年2月26日版》

数あるシリーズの中でも、筆者はこの「ドラクエ7」を最も深く、おそらく他者より愛している。

広大な海にポツンと浮かぶ孤独な島。失われた世界を一つずつパズルのように繋ぎ合わせていく、あの気の遠くなるような旅路――

 

『人は誰かになれる』そのキャッチコピーが、これほどまでに残酷で、かつ美しい響きを持って迫ってくる作品を他に知らない。それは単なる冒険ではなく、自分の感性を決定づけた「体験」そのものだった。

‥ドラクエ7。それは冒険というより、救いのないパズル。石板の破片を求めて、世界を彷徨い、ようやく辿り着いた過去で待っているのは、いつも湿り気を帯びた絶望だ。そして、忘れもしない、投げ出したくなるほどの面倒臭さの道中で起きた、あの「事件」。

愛ゆえに書かせてもらいたい。多くのプレイヤーが憤った、種泥棒‥ もとい王子キーファの離脱である。‥だが、今振り返れば、あれこそがこの物語の白眉だったのではないか。

種を与え、最強の装備を買い与え、共に地獄を潜り抜けてきた相棒が、ある日突然、理解しがたい理由で去る‥。それはもはや、レベルを上げれば解決できるゲームの論理を、キーファという存在が根底から覆してみせたのだ。

 

(C)amazon フルリメイク。キーファは赤のヤツw

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それはまるで、芥川龍之介が描き、太宰治が溺れたような、出口のない人間の理不尽。

「エデンの戦士たち」。その勇敢なタイトルとは裏腹に、我々が目にしたのは、救いなき救済の世界だ。どれほどモンスターをなぎ倒し、職業を極め、熟練度を上げようとも、過去の傷跡は現代に冷酷な形で現れる。

石板をはめる『カチッ』という無機質な音。それは、かつて芥川が幻視した「歯車」が噛み合う音だったのかもしれない。一つ合わせるたび、逃れられない運命が回りだす。そうした開かれた過去は、太宰が描いた「パンドラの匣」とは真逆の、救いなき真実を突きつけてくるのだ。プレイヤーは勇者という名の「傍観者」として、人間の業をただ見届けることしか許されない‥‥。

 

2026年の今、再びこの物語を反芻する。効率とタイパが叫ばれる現代において、あの石板集めの果てしない徒労と、救いようのない鬱展開の数々は、奇妙なリアリズムを持って迫ってくる。

ひょっとしたら我々は今も、見えない石板を必死に集めては、誰にも届かない救済を繰り返しているのではないか――

 

きょうは、古いセーブデータの続きを追うのはやめておこう。あの物悲しい旋律が、耳の奥で鳴り止まなくなる前に。

 

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